ひとつ、ふたつ、ひみつ。
──ピピーッ! ピピーッ!

今度は何!?

彼の腕から、電子音が鳴り響く。

「やばい。“目的地異常”の通知だ」

「はい!?」

「あの! これに、見覚えは?」

「へ、へっ!?」

前のめりになって、ずいっとこちらに向けるのは、……腕時計?

腕にベルトで巻かれた、小さな液晶画面。
デジタル時計……にしては、時刻の他に色々な表示がある。

しかも、液晶は真っ赤に染って、明らかな警告色。

「す、スマートウォッチ……?」

私も周りの誰かも持っていないから、どんなものだっかはうろ覚えだけど、なんかこんなんだった気がする。

私の答えは、はずれだったらしい。
イケメンが、ガックリと肩を落としている。

泥棒……じゃ、ない?

さっきから、言っていることも意味が分からないし。
特に、私に手出する様子もない。

しかも、「俺が知ってる日本じゃない」とか、言っていたような。

少しだけ、頭が冷静になってきた。

この部屋は、マンションの五階。
どうやって、このベランダに入ったんだろう。

私がさっき帰ってきた時には鍵がかかっていたから、侵入するには鍵のかかった玄関を開けて、なぜかまた内側から鍵をかけて。

ベランダに出たあと、なぜか外からベランダの鍵もかけたことになるけど。
どうやって……?
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