ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「あ、あの……」

冷静に、冷静に。
しっかりしろ、私。
今日から、ひとりだけなんだから。

「どうやって、ここに?」

震えながら、傘を両腕でしっかりと抱きしめる。

「ああ、そうか……。突然知らない奴が家にいたら、怖いですよね。すみませんでした」

イケメンが、丁寧に頭を下げる。

やっぱり、泥棒や犯罪者にしては様子がおかしい。

「どうやって……、うーん、説明が難しいな。このベランダの……2mくらい上に、パッと現れて、落ちたっていうか」

はい、分かりません。
一から十まで、分かりません。

え、なに、魔法使い?
スマートウォッチを自慢する、様子がおかしい魔法使い?
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