ひとつ、ふたつ、ひみつ。
というかこれ、考えるまでもなく、警察案件では?

隙を見て、スマホから……どうにか通報を。

あれ? でも、二日目で早くもこんなことがあったってママにバレたら、日本に帰ってきちゃう?

私が秘密にしていても、きっとあっくんの家の誰かが必ず、ママに連絡をしてしまう。

ママの仕事の邪魔をするなんて、だめ。
私は今までだって、ひとりで大丈夫だったでしょ。

「……俺が、怪しいのは分かってます。でも、話を聞いてくれませんか? 心配なら、手足を縛ってもらってかまわないので」

おとなしく両手を差し出す姿に、また少しだけ冷静になってきた。

震える手を傘の柄に移動させて、ギュッと握りしめる。

少しでもおかしなことをしたら、すぐに殴ろう。

「分かりました。き、聞かせてください……」

目の前のイケメンがホッとした顔を見せて、目の前で正座した。

「俺は、この世界の人間じゃありません。平行世界……こことは違う日本から来ました」

なんかすごいこと言い出した。
殴るなら、今だな?
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