ひとつ、ふたつ、ひみつ。
流された。
考える暇もなかった。

なにこのシチュエーション。
ドラマでしか見たことないよ?
少女漫画でも、中々ないよ?

私はどうしたらいいのか分からなくて、手をうろうろとさ迷わせるしかないのに、真尋くんは私の膝枕で漫画を読んでいる。

「こっちの世界の漫画、おもしろい」とか、のんきに感想を聞かせてくる。

なぜ、これでくつろげるのか。

あとこのイケメン、漫画から目を離して、たまに私の顔をジッと見上げるのもやめてほしい。

「こまり、ずっと顔赤いね」

「……真尋くんのせいですけど?」

「はは、かわい」

どっちが。
笑わないでよ、笑顔可愛いんだから。

本当に、なんだこのイケメン。

いつまでこうしてるといいの?
真尋くんの気が済むまでって、その時間はいつになったら来るの?

この重みが、ぬくもりが、心臓に悪すぎる。

──と、その時。

──バチッ!

「えっ?」

スイッチが切れるような音と共に、一瞬で辺りが真っ暗になった。
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