ひとつ、ふたつ、ひみつ。
手の震えを止めてもらったのに、声が震えてしまって情けない。

「わ、わたし、昔からよくひとりで家にいて、すごく雨が降った夜に……雷で停電になって……。それが怖くて、暗いのが……」

自分でも、文章がぐちゃぐちゃなまま口にしていることは、分かっている。

「そんな時は、あっくんが……心配して、うちに来いって言ってくれたりするんだけど……。あのにぎやかな家が、本当は苦手で……」

うちとは正反対の、あたたかい家。
優しさが嬉しい反面、家に帰ると実感してしまう。
やっぱり、私はひとりだから。

「ご、ごめん、真尋くん。もう大丈夫──」

「こまり、明るいところに行こう」

「……え?」

あ、暗さに少し目が慣れてきた。

私の手を握る真尋くんは、笑っている。

「手、はなさないで」

「な──」

なに? なんて、聞く余裕もなく。

風が吹く。
真っ暗な部屋が、星空に変わる。
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