ひとつ、ふたつ、ひみつ。
その必死すぎる姿に、私は警戒心を薄くして、息を吐く。

信用したわけじゃないけど、とっさの嘘にしては、変な単語と設定が出すぎている。

「何か、証拠とかはありますか? あなたが、違う世界の人だって証拠」

「証拠……。あ、これはどうかな」

と、ポケットからスマホを取り出す。

「スマホなら、こっちにもあるけど……」

「スマホって何? これは、スクデだよ。スクリーンデバイス」

意味的に、ほぼ誤差みたいなものでは?

「携帯電話じゃないの?」

「いや、通信機」

難しいな、日本語。

「このスクデで出来ることは、通信の他には、これとか」

「?」

イケメンが、スマホ(仮)の画面をシュッとスワイプする。

私の手を取って、ニコッと笑った。

「手、離さないで」

「──えっ?」

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