ひとつ、ふたつ、ひみつ。
こ、怖かった……!

今さらになって高速になった心臓の音が、ドッドッドッと、全身を叩くように鳴り響く。

「信じてもらえた?」

「…………はい」

こんなトンチキひみつ道具を身をもって体験させられてしまっては、これ以上否定することは難しい。

てか、死ぬかと思った。

「犯罪目的でうちに入った、怪しい人じゃないのは、分かりました」

いや、怪しさは増したけども。
ある意味、さっきより怖い。

「警察には行かないので、というかこんなこと話したら私が頭おかしいと思われるので、どうぞ安心してお帰りください」

「……」

そのまま、またそのひみつ道具を使って姿を消すものだと思ったけど、彼は私の前から動かない。

……あれ?
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