ひとつ、ふたつ、ひみつ。
“いつも困った、こまりちゃん”。
あっくん、今なら言っても許すよ。

だから助けて……!
私、今までで一番困ってる。

好みの顔からの頼みごとって、どうやって断ったらいいのか分かんないんだけど。

「俺に出来ることなら、なんでもする」

遠目で見た時ですら好きな顔なのに、それがドアップで迫ってくる。

サラサラで、少しウェーブがかった茶色い髪の毛。切れ長でキリッとした目元。
肌が綺麗すぎて、毛穴が見えない。

うう、押し切られそう。
チョロい、私。

「この世界じゃ、他に行くところがないんだ」

「っ!!」

手を握られたままグイッと引き寄せられて、これ以上はもう限界。

「──わ、分かった! 分かったから、はなして!」

涙目で叫んで、ようやく解放された。

手が大きくて、温かくて、頭おかしくなるかと思った。
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