ひとつ、ふたつ、ひみつ。

「今日も、彼氏くんと登校? 毎日毎日、あんたたち仲良すぎでしょ」

「だーかーら、あっくんは彼氏じゃないの。幼なじみ」

登校して教室に入るなり、友達の関山花恋(せきやまかれん)が、日課と言わんばかりに早速からかってくる。

花恋は、高校に入ってすぐに友達になった女の子。

「幼なじみとかって、そんなことある? 家が隣で? 小中高一緒で? さらにクラスも一緒で?」

「うん、中学は三年間奇跡的に同じクラスだったから、これで四年連続同じだね」

「で、毎朝起こしに来てくれて、仲良く登下校? 少女漫画じゃん」

「起こされてはいないって。遅刻しないように、見張られてるだけ」

「何とも思わないの? そんなにいつも一緒にいて」

「何とも思わないことないよ。さすがに飽きた」

「そうじゃなくて」

花恋は、自分の席で友達と話すあっくんに視線を向ける。

「誰かに取られちゃっても、知らないよ。長岡くん、モテるんだし」
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