ひとつ、ふたつ、ひみつ。

──カタタン、カタタン。

電車の揺れが、心地いい。

帰りはあまり遅くならないようにと、まだ明るい内に下り電車へ乗った。

そのおかげか車内は人も少なくて、ふたりで座席に着いても周りはガラガラ。

足元の空調の風が、そよそよと撫でてくる。

運動公園にあったレストランのオムライス、安いのにおいしかったな。たまごがふわふわで。
ああいうの、私は何回挑戦しても失敗しちゃうんだよね。

真尋くんなら、作れるかな。
今度、リクエストしてみよう。

今日は楽しかったな。
次は、いつなら行けるかなぁ。

「こまり、帰ったら何食べたい?」

「……」

真尋くんの声がする。
夢?

頭がずっと、ふわふわしてる。

「こまり? ……寝ちゃったか」

頭を引き寄せられて、真尋くんの肩に乗って。サラサラの髪の毛が、頬に優しく触れる。

「今日は、ありがとう」

そんな、夢を見た。
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