ひとつ、ふたつ、ひみつ。
そのためには、まず。

「こーまーりー!」

この幼なじみを、なんとかしなきゃ。

私は玄関の扉を開けて、顔の前で手を合わせる。

「ごめん、あっくん。今日は先に行っててくれる?」

「は? なんでだよ。準備できてんじゃん」

「いや、あの……」

「なに」

「だ、だから……」

「なんだよ」

「……と、トイレ、我慢できないから、お願い」

「……」

「……」

もっと他に、いい言い訳はなかったのか。
なんというか、思春期の女子として。

「分かった。遅れんなよ、49点」

気を使うなら、最後までちゃんとしてほしい。
ついに、半分以下にしたな。

「うん、また教室でね」

と、私はまた玄関の扉を閉めた。
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