冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「ディナーって、もしかして裕翔さんが……?」


 キッチンのカウンターの向こうで目が合った裕翔さんは、手を動かしながら微かに口角を上げる。


「三ツ星レストランみたいにはいかないだろうけどな」

「やっぱり、作ってくださるんですか!?」


 思わずキッチンカウンターの目の前まで行って、裕翔さんに訊いてしまう。

 中ではすでに支度が進んでいる料理の準備が始められていて、裕翔さんは冷蔵庫と作業スペース、コンロを行き来し始めていた。


「すごい……本格的」


 そういえば、ご両親に私を紹介したとき、私の両親に挨拶したとき、どちらもクッキングスクールで知り合った〝設定〟になっていた。

 あのときは料理教室に通っていると知り驚いたけど、その腕前を私の誕生日に披露してもらえるなんて思いもしない。


「なにか、お手伝いすることは?」

「主役はなにもしないで寛いでくれてればいい」

「見ているのはだめですか?」


 キッチン内の様子から、すでに裕翔さんがかなり料理上級者なのが見て取れるから、迷惑でなければ覗き見たい。


「別に問題ないが、だいたいはもう仕上げてあるから見ても楽しくはないと思うけど」

「それでも見たいです」

「普段、料理はするのか」

< 101 / 172 >

この作品をシェア

pagetop