冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「じゃあ……今日のメニューに合いそうなものにしよう」
裕翔さんはセラーから一本白ワインを取り出す。そして「座って」と私にダイニングテーブルにつくように促した。
「ありがとうございます」
「いつまで抱えて持ってるんだ?」
「え?」
再びキッチンに入っていきながら、裕翔さんは私を振り返り微笑む。
さっきプレゼントしてもらったフラワーケーキを持って歩いている私がおかしかったようだ。
「嬉しくて、つい持って歩いてました」
自分の席の横に花を置く。ダイニングテーブルに誕生日ケーキが用意されてあるように見えて、またじっと見惚れてしまった。
目の前には、食すのがもったいない前菜のプレート。テリーヌを主役に、色鮮やかな野菜や果実で飾られているそれは一枚の絵のようだ。
「すごくきれいなテリーヌ……」
「そうか。一品目をなににするか悩んでこれに決めたから、正解だったな」
裕翔さんは「栄えを狙った」とふっと笑う。
「テリーヌ、過去に一度くらいしか作ったことないんですけど、こんな風に綺麗な断面にならなかったです。具材の置き方が悪かったのかな……」
「確かに難しいよな。これも、切ったときにエビが断面にきれいに並ぶように配置したけど、材料によっては上手くいかない」
裕翔さんはそんな話をしながらさっき取ってきたワインのコルクを抜いていく。
その様子も慣れたもので、日常的にワインに慣れ親しんでいることが感じ取れた。
私の前に用意された丸みのあるワイングラスに、ゆっくりと注がれていく白ワイン。
グラスの三分の一ほどまで入ると、裕翔さんは自分のグラスにもワインを注ぐ。