冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「じゃあ、知花の今年一年がいい年になりますように」
グラスを手にした裕翔さんに倣って、ワインを注いでもらったグラスを手に取る。
「乾杯」
「ありがとうございます。乾杯」
グラスに口をつける前に鼻孔をくすぐったのは、爽やかな柑橘っぽい香り。ひと口口に含むと、さっぱりしたドライなグレープフルーツのような味が口内に広がった。
「美味しいワイン……飲みやすいですね」
「好みの味ならよかった。食事は適当に進めて構わない。俺は料理を出していくのに途中で席を立つから気にせずに」
「あ、はい。では、いただきます」
ナイフとフォークを手に、早速テリーヌをいただくことにする。
でも、やっぱり美しすぎてキラキラしていてフォークを入れるのが勿体ない。
食べる前に目に焼き付けて、もう一度「いただきます」を言ってから食事を始めた。
「テリーヌ、美味しい……!」
映えな上に、味もこんなにおいしいなんて。贅沢な具材の食べ応えはもちろん、野菜の出汁なのかしっかりとした風味豊かな味がする。
誕生日に誰かに料理を作ってもらったのなんていつぶりだろう。
そこまで考えて、そういえば父以外の男性に手料理を作ってもらったことが初めてだと気づく。
元夫になにか作ってもらったことはなかった。