冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「思い出したとしても、戻りたいと思うような過去ではないです」
「ああ、わかってる。違うんだ、どんなことであろうと、彼とのことを思い出してほしくないと、そう思ってしまった。嫉妬のような感情だ」
今度は裕翔さんのほうが自嘲気味な笑みをこぼす。
〝嫉妬〟なんてフレーズが彼の口から出てきて、どういう意味だろうと視線が泳いだ。
「人間は、いつ、どんな人間と出会ったかで、人生が大きく変わる。良くも悪くも。俺はこれまで生きてきて、それをひしひしと感じている」
かけられた言葉がずしっと重くのしかかる。
どんな人間に出会ったかで、人生が大きく変わる……。
確かに、本当にその通りだ。
出会う人、関わる人、人生において人との交わりは歩んでいく道に大きな影響を与える。
幸せも不幸せも人任せではない、自分次第だとは思っている。
でも、人は決してひとりでは生きていけないとも思っている。
「人との出会いは、運命を左右する……大げさじゃなく、私もそう思います」
結婚という大きな転機も、元夫と一緒になったことで私はバツイチという運命を辿った。
結婚当初は、まさか自分が離婚するだなんて思いもしなかった。
生涯寄り添って、そのうちに子どもも生まれて、絵に描いたような家族像しか想像できなかった。
「これから先、君が出会って良かったと思える人のひとりに、俺はなりたいと思ってる」
「裕翔さん……」
「できれば、その最上位にもなりたい」
心を鷲掴みするような言葉に、彼の美しい顔をじっと見つめてしまう。
込み上げる嬉しさをどう言葉で表現したらいいのかわからず、黙ったまま。ただ、裕翔さんから目を逸らさなかった。