冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「だから、覚悟しておくように」
最後は少し冗談ぽく笑みを交えて言って、食事を再開する。
なんと返事をしたらいいのかわからないまま、ただ鼓動の高鳴りを感じながらカトラリーを手に取った。
「いただきます」
料理を出してもらう毎にいただきますを言って口に運ぶ。
すでにカットして出されたステーキはナイフで簡単に切れるほど柔らかく、絶妙な焼き加減で口の中でとろける。
じっくり味わいながら、これまでどこかでずっと疑問だったことを考え始める。
どうして、裕翔さんは私にこんなに良くしてくれるのだろう。
なんの取り柄もなく、家柄も一般的で、一社員の私に。
初めて執務室に呼び出されたときから、どうしてだろうとずっと思っていた。
選ばれたのがどうして私なのか、私でなくてもうちには膨大な数の社員がいる。
その中で、彼の婚約者のフリをしてほしいと抜擢されたのはなぜだろうって。
「あの……ずっと、気になっていたことがあって。訊いてもいいですか?」
裕翔さんは手を止め私を見て「なんだ」と受け入れる。