冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「そのときの車椅子の老人、彼は俺の祖父だったんだ」

「えっ……裕翔さんの、お祖父様!?」


 まさかの告白に目を見開く。

 あのときのご老人が彼のお祖父さんだなんて知るはずもなく、驚いたまま固まった私に裕翔さんは微笑みを浮かべる。


「普段は普通に歩いているけど、あのときは少し腰を痛めた時期で車椅子を使っていたんだ。好奇心旺盛な祖父でな、周囲の心配を笑い飛ばして、慣れない車椅子で公共交通機関で出かけるのを楽しまれていた」

「そうだったんですか……」

「あのときは、たしか本社の一駅となりで下車して行きたい店に寄ってから一駅を自分で車椅子を押すと話していたんだ」


 あのとき話したことと同じことを裕翔さんが話してくれて、人違いではないことを確信する。

 そんな偶然ってあるんだ……。


「あの日、予定より少し早く仕事が片付いて、車椅子で移動していることも気になって祖父の降りてくる駅に向かったんだ。ちょうど、地下鉄のホームで祖父と知花が一緒にいるのが見えて、知花はちょうど発車する電車に乗り込んでいくところだった」


 裕翔さんのお祖父様に付き添って会社の一駅先で下車し、すぐに反対のホームにやってきた逆回りの電車に乗り込んだ。

 裕翔さんがそんなタイミングでホームに降りて来ていたなんて知りもしなかった。

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