冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「そのあと祖父に会うと、『今どきの若いもんなんて言葉は良くないな』なんて言っていたよ。知花に親切にしてもらった話を、嬉しそうにしてくれた。それから、彼女はうちの社員だったと」
「え、どうしてそれを?」
「社章を見て気づいたと言っていた」
ジャケットにつけていた社章だ。
どのタイミングで気づいてもらったかは全然わからないけれど、きっと、自分が先代だと敢えて言わなかったのだろう。
「そうでしたか……まさか、あのときの方が裕翔さんのお祖父様だったなんて」
「ああ、それから、祖父の話から君のことを探した。社内外での評判がいいことも、実際に君の仕事している姿も見た」
数年前から知っていたという話がやっと繋がっていく。
まさかそんな縁からCEOに知ってもらっているなんて気づきもしなかった。
「でも、そのときに君が新婚だというのも知った。今だから正直に言うが、少し残念だと思った」
「え……?」
「お礼も兼ねて、食事にでも誘おうかと思ったんだ。話もしてみたいと思ったから、プライベートで。でも、既婚だと知ってさすがにプライベートな誘いはできないと諦めた」
そう言った裕翔さんはふっと苦笑を漏らす。
「これで、なぜ自分に白羽の矢が立ったのか謎が解けたか」
「はい。すでに、知ってもらっていたということだったんですね」
「そう。俺に興味を持たれていたと、そういうことだ」
裕翔さんは席を立ち上がり、またキッチンへと入っていく。
「最後は、デザートを用意してる」
「ありがとうございます。食べたら片付けをしますね」
つい止まっていた食事を思い出したように再開し、美味しいステーキに舌鼓を打った。