冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「では、いただきます!」
切り分けたケーキを早速食口に運ぶ。
「美味しい~!」
今日は料理を出すたびにそう言って本当に美味しそうに食べてくれ、その姿にほっこりさせられている。
料理は自分自身が楽しむためだけに極めてきた趣味だけど、今日初めて食べてもらう喜びを知った。
『誕生日どころか、手料理を作ってもらったことがなかったです。あ……カップ麺に、お湯を入れてもらったことはあったかな』
そう言って見せた笑みがどこか寂し気で、無理をしているようにも見えて、胸に切なさが込み上げた。
彼女の過去の結婚生活がまったく気にならないと言ったら、それは嘘になる。
覗いてみたい気持ち、知らないほうがいいだろうという気持ち、ふたつがせめぎ合っている。
でも、ひとつ質問をしたところで結果後悔をした。
彼女に、元夫とのことを考えさせてしまった。
それまでふたりきりだった空間に、彼女の元夫が現れたような、そんな妙な感覚を覚えた。
いくら酷い別離となっても、一度は人生を共に歩もうと誓った相手。
いいことも悪いことも思い出だってたくさん残っていて、きっとそんなに簡単に消し去ることはできない。
少なくとも、現時点では俺よりも彼女との時間を過ごしているのは確実で、彼女のことを知っていることも間違いない。
その事実が許しがたい。