冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「裕翔さん、今日は本当にありがとうございました」
切り分けたケーキを半分くらいまで食べたところで、知花はお礼の言葉を口にする。
「誕生日を祝いたいなんて言ってもらえたときも驚きましたけれど、今日はそれよりもっと驚きました。嬉しかった」
その様子は、今日の知花を見ていれば社交辞令ではなく、本物の気持ちだというのが伝わってくる。
彼女を見つめながら自然と笑みが浮かんだ。
「そうか、それなら良かった。俺のほうこそ、祝わせてくれてありがとう」
「そんな! 祝わせてくれてなんて」
仕事を切り離したプライベートな時間とはいえ、やっぱりまだ遠慮を感じるし、見えない壁もある。
これまでの関係性がある上で、そんなにすぐ打ち解けられるはずもないが、この距離間がもどかしい。
「少し待ってて」
ケーキを口に運ぼうとしている知花をおいてソファ立ち上がる。
好意や信頼は、手に入れようと思っても力づくで得られるものではない。なにかを差し出して叶うものでもない。
植物を育てるように、時間をかけてはぐくんでいくものだとはわかっている。