冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


 リビングに戻ると、知花は「裕翔さん!」とケーキ皿を見せてきた。「ごちそうさまでした」と笑顔になる。


「もっと食べるか」

「えっ、いいんですか?」


 ぱっと花が咲くような明るい表情を見ると、それだけで心が満たされる。


「食べれるならいくらでも食べるといい。でも、その前に……」


 彼女のとなりに腰かけ直し、取ってきた紙袋を差し出す。

 大きな目をわずかに大きく開いて、俺の顔に目を向ける。


「え……? これは」


 彼女のタイプ、渡されて率先してプレゼントを開けるタイプの女性ではない。

 それがわかるから、中からリボンのかけられた小箱を取り出す。

 リボンを解き箱の上部を開けると、悩んで決めたブレスレットが現れた。一粒ダイヤの華奢なブレスレット。

 彼女の趣味がわからず、選ぶのに時間を要した。

 でも、知花のことを考えて決めたものだ。


「もう何度言ったかわからないけど……誕生日おめでとう」

「ブレスレット……? 私に、ですか」


 彼女の右手を取り、「つけてもいいか?」と訊いてみる。

 こくこくと頷き許可をしてくれたところで、ブレスレットを取り出し手首につけていく。


「あのっ、でも、こんな高価なものは受け取れないです」

「そんなこと関係なく、俺の気持ちとして受け取ってもらえたら嬉しい」


 少し困ったような表情を伺わせたものの、弱ったようにはにかんで「わかりました」と言ってくれる知花。

 良かった。内心まずその安堵がくる。

 今日は、花を渡すときも、料理を出すときも、同じような緊張感に包まれた。

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