冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「ありがとうございます。本当に、気持ちが嬉しいです。祝おうという、気にかけてもらえたことが」
知花はつけたブレスレットにそっと触れ、顔を上げて微笑む。
「大事にしますね」
その表情に心ごと鷲掴みにされて、彼女の手をそっと取った。
「これから先、ずっと知花の誕生日を祝わせてほしい」
意識しないで出てきた自分の言葉に驚いたけれど、それが間違いなく本心だった。
また来年も、再来年も、この先毎年、知花の誕生日を祝っていきたい。許されるのなら、彼女の一番近くで祝いたい。
「そんなこと言われたら、私……嬉しくて……」
大きな瞳が潤むのを目の前で目撃して、激しく感情が揺さぶられる。
嬉しいというフレーズを必死でかみ砕き、きっとマイナスではないだろうという結論に行きつく。
拒否するのであれば、彼女はきっとやんわりと遠慮の言葉を発するに違いない。
知花に近づきたい、特別な存在になりたい、そう願う思いが自分を慎重に、そして生まれて初めてこんなにも必死にさせている。
取った手に指を絡ませ、彼女の反応を窺う。
近距離で視線がぶつかりはにかまれると、抑えていたものが制御しきれなくなった。
手を引き腕の中に知花を閉じ込める。
華奢で小さくて、柔らかくて、艶のある美髪からはローズ系の香りが微かに鼻をかすめた。