冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「あっという間に到着だな」
オフィスから社宅まではそこまで距離がないため、送り届けてもらうのもそこまでの時間を要さない。
車はいつも通りマンション前に到着する。
「本当は、一緒に食事でもしたいところだが、これから顔を出さないといけない用があるんだ」
本心を隠して「はい」と答える。本当は、もう少しこうして一緒にいたかった。
「お忙しいのに、送っていただきありがとうございました。私も、明日のために今日は早めに休むことにします」
運転席から裕翔さんの手が伸びてきて、私の手をそっと取る。
「つけてくれているんだな」
誕生日プレゼントのブレスレットに目を落とし、裕翔さんは微笑む。
「こうして予告なく突然会いに来てつけてくれていると、贈った身としては嬉しいものだな」
「プレゼントしてもらった日から、毎日つけてます」
裕翔さんは予想外の言葉をもらったかのように、わずかにアーモンド形の目を大きくする。
そして、身を乗り出して私の髪を撫でた。