冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「そういうかわいいことを言われると、帰したくなくなるだろ」
どきりとする間もなく裕翔さんの顔が接近して、唇同士が触れ合う。
触れて、わずかに離れ、また触れると深く重なっていく。
「……どうしようかな、この後の予定。リスケしてもらおうか悩むな」
「っ! そ、そんなことしたらダメです」
私の頬を包み込んだまま裕翔さんがそんなことを言い出して、驚いて声を上げる。
裕翔さんは最後に軽くちゅっとキスを落とし、微笑んで私を解放した。
「わかった。今日のところは我慢して、明日、イベントを無事終えたら食事でもしよう」
「はい……」
ホッとしたのと同時に、どこかで少し残念に思ってしまう自分もいる。そんな感情がこんな自然に湧いてくることに戸惑った。
裕翔さんは私のシートベルトを外し、先に運転席を降りていく。助手席のドアを開けて手を差し伸べた。
その手を取り、車から降りていく。
「ありがとうございました」
「明日、頑張って」
彼の車が去っていくのを見送りながら、確実に育ってしまっている自分の気持ちに「困った……」と独り言を呟いていた。