冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「わかりました。今からお伺いします」
板東さんは《よろしくお願いいたします》と言って通話を切った。
ちょうど一区切りになりそうだった仕事をきりのいいところまで済ませ席を立つ。
まだ多くの人が仕事中のオフィスを出て、エレベーターホールへと向かった。
足を向かわせながらも、未だに呼び出された意味がわからない。
知らぬ間に、なにか重大なミスでもしてしまっただろうか……。もしかして、クビだなんてこと……。
よからぬことが頭の中を巡るけれど、たとえなにかクビが飛ぶようなことをしてしまったとしても、CEOに直々に呼び出されるなんてこと有り得ない。聞いたことがない。
そんな場合だとしても。書面で通達がくるだけだ。
だとしたら、呼び出されるって何事……!?
そもそも、七瀬CEOなんて、直接対面したことがない。
メディアで見るか、本物を見たとしても遠くのほうで豆粒くらいのサイズでお見かけしたことがあるくらいだ。
しかも、必ず秘書や側近の人たちが周囲にいる。
働いている会社のCEOなんていえば、ただの社員でしかない私からしたら雲の上の人だ。
私がこの会社に入社する一年ほど前、二十八歳という若さで七瀬CEOは就任したという。
七瀬がそれまで築いてきたものを大切にし、更なる事業拡大に積極的に挑戦し続け、七瀬CEO就任から一年ほどで業績は更に上昇した。
私が入社した当時はまさに乗りに乗っている真っ只中だったのだ。