冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
でも、社内では七瀬CEOに関してあまりいい話を耳にしない。
とにかく仕事に厳しく、妥協を許さない完璧主義者。
会社を大きくするためには手段を選ばず、社員の気持ちなんて考えていないなどと言う人もいるくらいだ。
数年前に社内で大きな話題となり、大混乱したことを思い出した。
SNS投稿の文化が発展している昨今、何か話題性のあることをしようと新しいプロジェクトが始動した。
それが、うちのメッセンジャーアプリ内で利用できる投稿型のノベル機能だった。
ライトノベルが一時代を築いた今、その波に乗って出版業界にも進出しようと試みたのだ。
大々的にコンテストも行い、プロアマ問わず受賞した作品は刊行もされた。
このままうちの事業の一ジャンルとして落ち着くかと思いきや、サービス開始から約一年で投稿型ノベルの機能、出版事業の廃止が突如決定された。
その判断を下したのが七瀬CEOだと耳にしたことがある。
近年、紙代の高騰によって出版業界も価格に転嫁等の厳しい部分も出てきているのは事実で、七瀬CEOはそんな時代の変化を先読みしていたのではないかとまで言われていた。
しかし、新事業を立ち上げこれからというときだった関係部署の人間たちや、取引のあった作家からは不満や不安の声が多く上がったことも事実。そんな一件もあったのだ。
良く言えばやり手、悪く言えば冷徹な人だということ。
直接の関わりはないけれど、今まで聞いてきた話を総合的に捉えて苦手なタイプの人としか思えない。
働いている会社が上場なのはCEOの力だと思うし、そんな企業で働けているのはありがたいこと。
でも、人としては間違いなく自分とは合わない相手だろうから、こうして直接会って話すということに緊張する。