冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「三ツ橋さん、君は本当にうちの社員なのかな。ここのホテルが昨年うちの傘下になったことも、まさか知らないなんてことはないよな……?」

「えっ」


 このビジネスホテルのグループがナナセホールディングスの傘下に入ったのは、昨年の四月だ。

 社員は利用に社割がきいたり、全国の駅近に店舗を構えるため、出張にもこのビジネスホテルを利用する流れになったことは記憶に新しい。


「今回の件、すべて調べさせてもらった。今日、君がここに来てからの会話も、ずっと裏で聞かせてもらっていた」

「え、うっ、うそ……」

「あの記事については事実無根なため、徹底的に戦わせてもらうことにしたから覚悟しておくといい。あの記事を出した出版社も、君個人も、容赦はしない」


 三ツ橋さんの表情が固まり、血の気が引いていくのが手に取るようにわかる。


「麻未、どういうことだよ、さっき言ってたこと。いらなくなったって」


 今か今かと出番を待っていたかのように、元夫が三ツ橋さんに詰め寄る。

 裕翔さんがここでの私たちの会話を聞いていたと言っていた。どうやら元夫も一緒に聞いていたようだ。


「なぁ、麻未! どういうことだか説明しろ」

「うるさいわね、ちょっと気まぐれで遊んでただけなのに、本気にならないでよ!」

「なんだと!?」


 三ツ橋さんと元夫の言い争いが目の前で始まると、裕翔さんが私の腕をそっと取る。

 見上げてあった優しい微笑に、募っていたすべての不安が安堵へと変わった。

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