冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「あの、その……あまり、こういうことに、いい思い出がないと言いますか」
説明が難しいというか、どんなニュアンスで伝えたらいいのか困って、なんとか言葉を紡ぐ。
あまりはっきり言うのも生々しい。
元夫との性生活で、行為自体に苦手意識が芽生えてしまったのだと自覚している。
愛を確かめ合うためのこと、お互いが想い合えば自然と求めること。
でも、元夫とはそうではなかった。
彼の気分と欲求により求められ、それはいつでも自分本位だった。
だから、私にはいい思い出として記憶されていない。
「いずれ、思い出さなくもなる」
裕翔さんはそう言うと、私の耳元に唇を近づける。
「それくらい、俺が知花を愛して甘やかすからな」
どきりとする言葉と共に耳朶に口づけられて、思わぬ声が出てしまう。
裕翔さんはくすっと笑って、髪や頬にキスの雨を降らせていく。
その言葉通り、裕翔さんは優しく私へと触れてくれる。
繊細なガラス細工でも扱うように、丁寧に安らかに。
でも、行為ひとつひとつから好きだという気持ちも伝わってきて、求めてくれていることも感じられる。
触れられることに悦びを感じ、このまま離れたくないとまで強く思った。