冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「お待たせしました」
急ぎめできたものの、なんとなくそんな言葉が出てくる。
通された扉の先は、板東さんが駐在しているであろう部屋で、カウンターと、ちょっとした待合いのソファセットがある。
「奥でお待ちです」
どうやらその奥に七瀬CEOの部屋があるらしく、板東さんが部屋をノックして「失礼します」と中に声をかけた。
板東さんが開いたドアの先は、奥のデスクまでが遠い広い部屋が現れる。
最奥はガラス張りになっていて、七瀬CEOはそのガラス張りの前に立ってスマートフォンを耳に当てていた。
ちょうど通話を終えたところのようで、耳にしていたスマートフォンをデスクに置いて振り向いた。
〝冷徹なやり手CEO〟と囁かれるのと同じくらい、彼には話題になることがある。
それは、誰もが否定しない眉目秀麗さと、韓流スター顔負けのスタイルの良さだ。
端整な顔は小顔で、優に八頭身はあるモデルのようないで立ち。
雲の上の人、もはや架空の人物じゃないかと思ってしまうのは、肩書きとその容姿のせいだろう。
すでにこの距離間でも向こうに立つ七瀬CEOは特別なオーラを放っている。
「唐木田さんがお見えになりました」
板東さんが私の到着を知らせると、「ああ、ありがとう」と席に着く。
初めて生で聞いたその声は耳心地のいい落ち着いた声で、どこまでも完璧に整っている人なんだなと内心感心してしまった。
「では、なにかありました際にはお呼びください」
坂東さんは私を部屋に通すと入ったドアを閉める。
七瀬CEOとふたりきりになり、ひとまず遠くの彼に頭を下げた。