冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「……。えっ?」


 思わず失礼な素っ頓狂な声が出てしまった。

 聞き間違えだろうか。

 いや、ここには今ふたりだけで静かな空間。そんなはずはない。

 困惑して固まっている私を前に、七瀬CEOは真剣な表情を崩さずじっと私の返答を待っている。

 でも、そんな大真面目に言われてもなんの冗談としか思えない。


「あ、あの……いったいなにを仰られているのですか? すみません、理解ができず」

「実は、結婚しろと両親から縁談を進められている」


 いきなり始まった話に頭の中は疑問符で埋め尽くされる。

 それは、七瀬CEOが両親から早く結婚しろとせっつかれているということ?


「俺はまだ結婚する気が無い。だから、婚約者のフリをしてもらって両親を諦めさせたい」


 話の概要はなんとなく掴めた。

 七瀬CEOはご両親に結婚を進められ、でも彼はまだ結婚をしたくない。

 だから、結婚を前提にお付き合いしている婚約者を仕立てて、両親の進めている縁談を阻止したいということ、だ。

 その話は整理をしたら理解できるけれど、わからないのはそれをなぜ私に頼んできたかということで。

 考えられるとすれば……。


「それは……業務ということですか?」


 自分に白羽の矢が立つ意味がわからず、仕事なのかと思うしかない。仕事だとしても、疑問しかないけれど。

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