冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「仕事は関係ない。プライベートの話だ」
「え……?」
「もちろん、ただとは言わない」
七瀬CEOは席を立ち上がる。
私の立つデスクのこちら側へとやってきた。
「離婚したばかりだと聞いている。婚約者のフリをするのにも、なにもリスクもないだろう。あくまで〝役〟だ」
突如プライベートな事情を持ち出されて困惑が広がる。
私が離婚をしているから、だから依頼してきたということ?
確かにリスクはないけれど、それにしたってちょっと失礼な話だ。
「すみません、申し訳ありませんが、お断りします。そのような重要な役、私には務まりませんし、もっと相応しい方がいるはずですので」
婚約者のフリなら、この社内に相応しい女性はいくらだっている。
それに、一番は私にはそんな大役務まらないということ。
こうして面と向かって話すだけでも恐れ多い相手だというのに、フリとはいえ婚約者の役なんて……。
「見合いをさせられそうで困っていると、そんな話を耳にしている」
「どっ、どうしてそんなことを……」
そんな大々的に話している話ではない。
社内では彩子先輩にくらいしか話していないのに、どうしてそれを?
彩子先輩が人に話すような人ではないこともわかっている。
七瀬CEOは意味深に微笑を浮かべていた。