冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「もしもし、お母さん?」
《知花、今、電話大丈夫?》
「うん、少し前に帰ってきたところだから大丈夫」
《そう、お疲れ様》
母と話すのは、そこまで久しぶりではない。先週、例のお見合いの件で連絡が来たばかりだ。
「どうしたの?」
《この間の話なんだけど、今度の五月の連休、仕事ないって言ってたわよね?》
「え、あ、うん」
《相手のご家族と食事でもって話になって。帰ってこられるわよね?》
嫌な予感はしていたけれど、やっぱりその話かと身構える。
ゴールデンウイークも仕事だと言っておけばよかった。
「そのことだけど、私は帰ってお見合いする気がないって言ったはずだけど」
《またそんなこと言って。前向きに考えておいてって言ったじゃない》
「考えてはみたけど、やっぱり無理だよ。仕事を辞めてそっちに帰るのは考えられないし」
これだけはっきり拒絶の姿勢をみせても、母は「どうしてよ」と諦めない。
《それなりに力のある農家さんだから、自営業だし、そんなに仕事がしたければ事務の仕事とかできるわよ》
仕事がしたいというのは、なんでもいいからという話ではない。
今の会社に入社して積み上げてきたもの、築いてきたキャリアが土台にあり、これから更にその上に実績を積み上げていきたいのだ。
母には、私にそんな思いがあるとはわからないのだろう。
《そんなに頑なに拒否するなんて、お見合いできない理由でもあるわけ?》
「え、それは……」