冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
やっと話が見えてくる。
今からここで私が七瀬CEOの婚約者として相応しい姿に仕立ててもらえるということだ。
「ああ、でも、その必要もないくらい仕上げてきてもらっている」
「いえ、そんなことは……これが、私の精一杯ということには間違いないのですが」
でも、それだって庶民にとっての精一杯だ。七瀬CEOや、ご両親からすればみすぼらしいに違いない。
「素材がいいんだ、よりいいものを纏えば良さが引き立つことは間違いない」
もったいない褒め言葉に、つい左右に頭を振ってしまう。
彼の言葉を否定するようで大変失礼だとはわかっているものの、恐れ多いと体が勝手に動いていた。
「そんな、褒めてもらえるような者では……」
部屋の扉がノックされ、話が中断する。
七瀬CEOが「どうぞ」と返答すると、「失礼いたします」とさっきとは別の女性スタッフが部屋に入って来た。
「お待たせいたしました。本日は、ご会食とのことで伺っております」
「ああ、彼女のドレスアップをお願いする予定だったが……この通りすでに完成度が高い」
「そうでございますね」
ふたりから目を向けられ、「そんなことは!」とまた両手を体の前で振って否定する。
「まぁでも、プロに更に仕上げてもらって、用意した服もせっかくだから使ってくれ。彼女が身に着けた姿を見たい」
「かしこまりました」
七瀬CEOはそう伝えるとソファを立ち上がる。
「何分くらいで戻ればいいかな」
「三十分ほどでよいかと思われます」
「わかった。じゃあ、頼んだよ」
七瀬CEOは私に向かって「終わった頃に戻る」と言って部屋をあとにした。