冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「あ、はい! お疲れ様です」

「お疲れ」

「あの、七瀬CEOはこちらには……?」

「ああ、こっちで会議があって夕方から来ていたんだ」


 仕事の関係で偶然来ていたと知り、こんなタイミングで再会できたことが嬉しい。

 あのご両親との顔合わせから約一か月ぶりくらいだ。


「今からなにか予定はあるか」

「え……? いえ、特には」

「そうか。それなら少し付き合ってもらいたい」


 え? 付き合うって……?

 そう訊く前に七瀬CEOはその場から歩み出す。


「はいっ」


 ワンテンポ遅れて返事をし、そのあとについていく。

 七瀬CEOは再び私が勤務するオフィスの入るビルに入っていき、エレベーターで地下へと向かうボタンを押す。

 地下っていうことは、駐車場……?

 やってきたエレベーターに乗り込み、指定したのは地下一階。


「マッチングチームでの仕事には慣れたか」

「はい、少しずつですが。あ、あの、直接お伝えできる機会がなく、遅くなってしまいましたが、異動の件ではありがとうございました」


 異動通知が出たすぐあと、七瀬CEOにお礼を伝えたくていただいた名刺の社内メールアドレスにメールを送った。

 本当は直接顔を合わせて言いたかったけれど、そんな簡単に会える方でもない。

 案の上、あれから一切顔を合わせることはなかったし、すぐにメールをしてよかったと思う。

 メールの返信も忙しいだろうから【返信不要です】としたし、こちらのお礼だけが伝わればいいと思った。

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