開発部の門田さんは独占欲が強すぎる
「橘さん!」
スーツを着こなした、いかにもな仕事のできる女性。私は軽く会釈をする。
「ごめんなさいね、突然呼び止めてしまって」
「いえ、問題ありません」
彼女は秘書課の竪山さん。私が入社当初からお世話になっている先輩社員。
……ちなみに、どうしてお世話をしてくれるのかは未だにわからない。
「他人行儀にしなくてもいいのよ。もう仕事の時間は終わったのでしょう?」
「私は終わりましたが、竪山さんはまだですよね……?」
「まぁね」
茶目っ気たっぷりに笑う竪山さんは、とても可愛い。
クールビューティーという言葉が似合いそうなのに、中身はかなり人懐っこい女性だ。
私は彼女に小さな癒しを見出している。……彼女のほうが一歳年上だけど。
「――と。ねぇ、橘さん。プライベートなことで悪いんだけど、今、恋人っている?」
「……はい?」
耳を疑った。
どうしてそんな話になるのか。私が戸惑っていると、竪山さんは周囲をちらりと見渡した。
「実は、私の知り合いに誰か紹介してほしいって言われてて。それで、橘さんさえよかったら――って思ってるの」
「えっと」
「今すぐに返事はいらないから、考えておいてね」
彼女は一方的に話を打ち切って、颯爽と歩いて行った。
後ろ姿を見送って、私は呆然とする。
スーツを着こなした、いかにもな仕事のできる女性。私は軽く会釈をする。
「ごめんなさいね、突然呼び止めてしまって」
「いえ、問題ありません」
彼女は秘書課の竪山さん。私が入社当初からお世話になっている先輩社員。
……ちなみに、どうしてお世話をしてくれるのかは未だにわからない。
「他人行儀にしなくてもいいのよ。もう仕事の時間は終わったのでしょう?」
「私は終わりましたが、竪山さんはまだですよね……?」
「まぁね」
茶目っ気たっぷりに笑う竪山さんは、とても可愛い。
クールビューティーという言葉が似合いそうなのに、中身はかなり人懐っこい女性だ。
私は彼女に小さな癒しを見出している。……彼女のほうが一歳年上だけど。
「――と。ねぇ、橘さん。プライベートなことで悪いんだけど、今、恋人っている?」
「……はい?」
耳を疑った。
どうしてそんな話になるのか。私が戸惑っていると、竪山さんは周囲をちらりと見渡した。
「実は、私の知り合いに誰か紹介してほしいって言われてて。それで、橘さんさえよかったら――って思ってるの」
「えっと」
「今すぐに返事はいらないから、考えておいてね」
彼女は一方的に話を打ち切って、颯爽と歩いて行った。
後ろ姿を見送って、私は呆然とする。