開発部の門田さんは独占欲が強すぎる
(誰か紹介ってことは――男の人だよね?)

 恋人は一年くらいいない。……浮気され、しばらくもういいやって思っていた。

 でも、そろそろ私も前を向くべきなのだろうか。

(それに、竪山さんの紹介する人っていうことは、変な人じゃないだろうし――)

 私は彼女を尊敬している。女性としても、先輩としても。

 仕事をするときはしっかり仕事をして、休むときは休む。私は彼女の生活のモットーを見習いたいとも思っている。

 ……これは違うか。

(ちょっと、まじめに考えようかな)

 私の心は傾き始めていた。

 原因は――たぶん、元カレからのメッセージ。

(あいつのこと忘れるためにも、新しい一歩を踏み出したほうがいいのかな……)

 心がぐらぐらと揺れる。

 しかし、まぁ、今はとにかく――帰ろう。

(返事は保留にしてもらおう)

 幸い竪山さんの連絡先は知っているので、彼女に【真面目に考えるので時間をください】と伝えよう。

 私が決意を固めていると、視界の端にこちらをうかがう人影が見えた。

「――門田さん?」
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