生徒会長と私
第1章 邂逅
第1話 遊び
簡単なゲーム。
色を言って、隣の人間が連想するものを言って、
OKなら違う色を言って、隣の人がその色から連想するものを言う。
言えなかったり、連想できないものだったら、負けというゲームだ。
これは私は得意だった。今まで負けたことはない。
だから、高みの見物で、にやにやと笑って友だちがあたふたしているところを
見ていられると思っていた。
だが、「スミマセン!」という黒縁メガネの彼の声に振り向いていた。
丸いテーブルで隣に座るのはクラス委員長であり親友の川野 せりなが連想するもの
「亡くなった母の日のカーネーション」などという「白」から連想するにしては
不謹慎な言葉を発した後に、「黒」と宣言した。
「彼のメガネ」と言ってしまった。
三人が小さく「キャー」と騒ぐ。
小さい声でも女子高生三人の声は響くらしく何人かがこちらに注目した。
しまったと口をふさぐが遅かった。
「はい。罰ゲーム」
「がんばって」
「骨は拾ってあげる」
と好き放題言っている。
ー本来なら立場が逆だったのに………。
三人を恨めしそうににらんだ後、
「そうよね」と肩を落とし、
「ゲームを仕掛けたのは私だ」
私は意を決したように立ち上がり、囃し立てる友だち三人に見送られてレジに向かう。
レジの最後尾に並ぶとゆっくりと息を吸い込んで、一度、止めてゆっくりとはき出す。
小さい頃からの緊張しないおまじない。
これで小学校の学芸会の劇、グループ研究の発表、高校受験と一番緊張する瞬間を乗り越えてきた。
誰に聞いたのか忘れたけど、大事な場面での定番の行動になっていた。
その間にも列は進み、あと5人となった。
順番通りならちょうど、彼が私の注文を聞く番だ。
並んだ人の間から彼を見る。
私がカフェに入った時から変わらない無表情……
でも、ちょっと……いや、よく見るとかなりのイケメンかも。
整った顔立ちに、横一文字に結んだ口がもし、笑って開いたら………。
想像してドキッとしてしまう。
お客は目の前の一人にまでなった。
「お次の方、どうぞ」と中年女性が呼ぶと前の人は行ってしまう。
友だちの方を見るとニヤニヤと笑っている。
予想では私が向こうで友だちを冷やかしいるのに。
そう思ったからバチが当たったのか?
視線をレジに移すと彼の前にいるお客にコーヒーを渡している。
次が私の番だ。
私は頭の一番高いところに結んだポニーテールの赤いリボンを
キュッと引っ張って気合いを入れる。
胸がドキドキするが逃げられない。
友だちにバカにされるより、からかわれるより、見下されるのが一番、我慢できない。
だから、これを成功させなければ。
「ご注文は?」
彼の低音ボイスが耳に届く。
私はニコッと笑って「これを」とメアドを書いた紙を渡して、
驚いている彼に向かって顔を近づけて「連絡待ってるわ」とウィンクの一つもして
堂々と自信たっぷりに友だちのところに戻って行く。
顔を真っ赤にして私を見る彼に余裕たっぷりの笑顔で返す……と妄想していた。
「………さま。お…くさま」
ハッとして、慌ててレジに向かう。
「ご注文をどうぞ」
彼の前に立って、思ったよりも強い光を放つ黒い瞳に
「あ…あの…」と緊張がマックスになり頭が真っ白になる。
しわくちゃになるのも構わずメアドを書いた紙をギュッと握って手を前に出す。
彼が「?」と眉根を寄せる。
「こ…これを……」と紙を渡す。
友だちがキャーキャーと騒いでいる。
緊張しているのに頭の中で妙に冷静になっている自分もいて
彼の胸のネームプレートに書かれた文字「TUBASA」をみて、
なんか似合わない名前だなと思っていると、「ゴミですか?」と聞かれた。
そこで限界だった。
「ごめんなさい」と叫んで店を走って逃げ出した。
友だちになんて思われようとどうでもいい。
こんな恥ずかしい記憶を全てこの世から消してくれさえすれば。
彼は「お客様」と叫んでいる。
友だちは急いでカバンを持って、追いかけてきた。
三人とも彼に一礼してから、迷惑をかけたからだけど、
そのせいで、あとあと困ったことになるとは思わずに走って後を追ってきた。
私は走りながら、
もう二度と遊び半分でこんなことはしないと誓った。
あの男の人と二度と会うことはないだろう。
きっと大学生のバイトで年齢も違えば通う学校も違うはずだ。
だから、会うはずがない。
死ぬまで、二度と会いませんようにと、
次の日に学校に行って、朝礼で生徒会長として「TUBASA」くんを見るまではそう願っていた。
色を言って、隣の人間が連想するものを言って、
OKなら違う色を言って、隣の人がその色から連想するものを言う。
言えなかったり、連想できないものだったら、負けというゲームだ。
これは私は得意だった。今まで負けたことはない。
だから、高みの見物で、にやにやと笑って友だちがあたふたしているところを
見ていられると思っていた。
だが、「スミマセン!」という黒縁メガネの彼の声に振り向いていた。
丸いテーブルで隣に座るのはクラス委員長であり親友の川野 せりなが連想するもの
「亡くなった母の日のカーネーション」などという「白」から連想するにしては
不謹慎な言葉を発した後に、「黒」と宣言した。
「彼のメガネ」と言ってしまった。
三人が小さく「キャー」と騒ぐ。
小さい声でも女子高生三人の声は響くらしく何人かがこちらに注目した。
しまったと口をふさぐが遅かった。
「はい。罰ゲーム」
「がんばって」
「骨は拾ってあげる」
と好き放題言っている。
ー本来なら立場が逆だったのに………。
三人を恨めしそうににらんだ後、
「そうよね」と肩を落とし、
「ゲームを仕掛けたのは私だ」
私は意を決したように立ち上がり、囃し立てる友だち三人に見送られてレジに向かう。
レジの最後尾に並ぶとゆっくりと息を吸い込んで、一度、止めてゆっくりとはき出す。
小さい頃からの緊張しないおまじない。
これで小学校の学芸会の劇、グループ研究の発表、高校受験と一番緊張する瞬間を乗り越えてきた。
誰に聞いたのか忘れたけど、大事な場面での定番の行動になっていた。
その間にも列は進み、あと5人となった。
順番通りならちょうど、彼が私の注文を聞く番だ。
並んだ人の間から彼を見る。
私がカフェに入った時から変わらない無表情……
でも、ちょっと……いや、よく見るとかなりのイケメンかも。
整った顔立ちに、横一文字に結んだ口がもし、笑って開いたら………。
想像してドキッとしてしまう。
お客は目の前の一人にまでなった。
「お次の方、どうぞ」と中年女性が呼ぶと前の人は行ってしまう。
友だちの方を見るとニヤニヤと笑っている。
予想では私が向こうで友だちを冷やかしいるのに。
そう思ったからバチが当たったのか?
視線をレジに移すと彼の前にいるお客にコーヒーを渡している。
次が私の番だ。
私は頭の一番高いところに結んだポニーテールの赤いリボンを
キュッと引っ張って気合いを入れる。
胸がドキドキするが逃げられない。
友だちにバカにされるより、からかわれるより、見下されるのが一番、我慢できない。
だから、これを成功させなければ。
「ご注文は?」
彼の低音ボイスが耳に届く。
私はニコッと笑って「これを」とメアドを書いた紙を渡して、
驚いている彼に向かって顔を近づけて「連絡待ってるわ」とウィンクの一つもして
堂々と自信たっぷりに友だちのところに戻って行く。
顔を真っ赤にして私を見る彼に余裕たっぷりの笑顔で返す……と妄想していた。
「………さま。お…くさま」
ハッとして、慌ててレジに向かう。
「ご注文をどうぞ」
彼の前に立って、思ったよりも強い光を放つ黒い瞳に
「あ…あの…」と緊張がマックスになり頭が真っ白になる。
しわくちゃになるのも構わずメアドを書いた紙をギュッと握って手を前に出す。
彼が「?」と眉根を寄せる。
「こ…これを……」と紙を渡す。
友だちがキャーキャーと騒いでいる。
緊張しているのに頭の中で妙に冷静になっている自分もいて
彼の胸のネームプレートに書かれた文字「TUBASA」をみて、
なんか似合わない名前だなと思っていると、「ゴミですか?」と聞かれた。
そこで限界だった。
「ごめんなさい」と叫んで店を走って逃げ出した。
友だちになんて思われようとどうでもいい。
こんな恥ずかしい記憶を全てこの世から消してくれさえすれば。
彼は「お客様」と叫んでいる。
友だちは急いでカバンを持って、追いかけてきた。
三人とも彼に一礼してから、迷惑をかけたからだけど、
そのせいで、あとあと困ったことになるとは思わずに走って後を追ってきた。
私は走りながら、
もう二度と遊び半分でこんなことはしないと誓った。
あの男の人と二度と会うことはないだろう。
きっと大学生のバイトで年齢も違えば通う学校も違うはずだ。
だから、会うはずがない。
死ぬまで、二度と会いませんようにと、
次の日に学校に行って、朝礼で生徒会長として「TUBASA」くんを見るまではそう願っていた。