生徒会長と私
第3話
今は、体育の時間、隣のクラスと合同だ。
バスケでグループを変えながら、試合形式で授業をしている。
3点先取で交代となりすぐに出番が来る。
その間に、私たちは放課後の呼び出しに対してどうするか話し合っていた。
ピピーと笛がなり、1ゲームが終わった。
私は肉体的疲れよりも、精神的疲れにより、
肩を落としてコート外で待っているせりなとハイタッチをしてコートから出る。
せりなは「ファイト!」とやる気たっぷりでコートに入って行く。
昨日のことを忘れているわけではない悩みがあると体を動かして吹き飛ばすタイプだからだろう。
普段は、そんなせりなをうらやましいと思うが、今は妬ましく思ってしまう。
壁に背中を預けながら水筒の水を飲む。
「バックレよう」と照美がコンビニの新作スイーツを選ぶときと同じ真剣な目をして言った。
「卒業まで逃げ続けるの?」と長い髪を指に巻きながら照美を見るルナ。
「1年間、我慢する」と照美。
「違う。あの人、二年だから二年間だよ」と私が教えると「えー」とがっくりと肩を落とす照美。
「ルナは関係ないから陽葵が一人で行けばいいと思う」と相変わらず指に髪を巻きつけながら主張する。
「待ってよ。ルナたちだって一緒にやったじゃない」
「私はチーズケーキとカフェモカが合うか試していたし」
「ちょっと、冷やかしてたのちゃんと覚えているからね!」
「ケンカしても、問題の解決にならないでしょう」
「そうだけど………」
「ルナ。せりなに決めてもらいたいかなぁ」とルナ。
「止めて」と反射的に答えると二人がわたしを見る。
「まあ、言いたいことはわかるよ」と照美が腕を組んでうなずく。
「お待たせ! ルナ。交代」とせりなが勢いよく会話に入って来る。
「ルナ。行ってくるね」とせりなとハイタッチをしてコートに入って行く。
不思議ちゃんのわりに運動神経がいいせいか、
クラスメイトが嬉しそうにハイタッチをしている。
「決まった? どうするか?」とまだ乾いていない汗が額から流れて腕で拭くせりな。
優等生の割にちょっと、無頓着な部分がある。だからこそ、昨日、一緒にハメを外したのだが。
「………バックレたい……なって……」
「私も、それ、一瞬だけど思った」とせりなに言われて驚きの視線を送る。
てっきり、立場的に考えて
「やったことは悪いことだからみんなで謝りにいこう」と言うのかと思っていた。
「でも、私、委員長なんだよね」
「うん」と私と照美がうなずく。
「だから、生徒会長の氷室先輩と会う可能性がとても高いことに気づいたの」
「あ」と二人で同時に声が出る。
せりなが眉根を寄せてねだるような小悪魔系の顔をする。男の子に対しては100戦100勝の顔だけど、
友だちにそれが聞くわけが………。
「さっさと謝りに行こう。そのほうが逃げ回るよりもいいでしょう」と照美を見て言った。
さすが優等生の見本、誰が何を言うのか予想がついて、
ついでに私の言動も予想をつけていたらしい。
私たちはせりなに完全敗北した。
「放課後、4人で生徒会室に謝りに行くので決定ね」と人差し指を上に向けて命令するせりなは、
私と照美にとって鬼に見えた。
バスケでグループを変えながら、試合形式で授業をしている。
3点先取で交代となりすぐに出番が来る。
その間に、私たちは放課後の呼び出しに対してどうするか話し合っていた。
ピピーと笛がなり、1ゲームが終わった。
私は肉体的疲れよりも、精神的疲れにより、
肩を落としてコート外で待っているせりなとハイタッチをしてコートから出る。
せりなは「ファイト!」とやる気たっぷりでコートに入って行く。
昨日のことを忘れているわけではない悩みがあると体を動かして吹き飛ばすタイプだからだろう。
普段は、そんなせりなをうらやましいと思うが、今は妬ましく思ってしまう。
壁に背中を預けながら水筒の水を飲む。
「バックレよう」と照美がコンビニの新作スイーツを選ぶときと同じ真剣な目をして言った。
「卒業まで逃げ続けるの?」と長い髪を指に巻きながら照美を見るルナ。
「1年間、我慢する」と照美。
「違う。あの人、二年だから二年間だよ」と私が教えると「えー」とがっくりと肩を落とす照美。
「ルナは関係ないから陽葵が一人で行けばいいと思う」と相変わらず指に髪を巻きつけながら主張する。
「待ってよ。ルナたちだって一緒にやったじゃない」
「私はチーズケーキとカフェモカが合うか試していたし」
「ちょっと、冷やかしてたのちゃんと覚えているからね!」
「ケンカしても、問題の解決にならないでしょう」
「そうだけど………」
「ルナ。せりなに決めてもらいたいかなぁ」とルナ。
「止めて」と反射的に答えると二人がわたしを見る。
「まあ、言いたいことはわかるよ」と照美が腕を組んでうなずく。
「お待たせ! ルナ。交代」とせりなが勢いよく会話に入って来る。
「ルナ。行ってくるね」とせりなとハイタッチをしてコートに入って行く。
不思議ちゃんのわりに運動神経がいいせいか、
クラスメイトが嬉しそうにハイタッチをしている。
「決まった? どうするか?」とまだ乾いていない汗が額から流れて腕で拭くせりな。
優等生の割にちょっと、無頓着な部分がある。だからこそ、昨日、一緒にハメを外したのだが。
「………バックレたい……なって……」
「私も、それ、一瞬だけど思った」とせりなに言われて驚きの視線を送る。
てっきり、立場的に考えて
「やったことは悪いことだからみんなで謝りにいこう」と言うのかと思っていた。
「でも、私、委員長なんだよね」
「うん」と私と照美がうなずく。
「だから、生徒会長の氷室先輩と会う可能性がとても高いことに気づいたの」
「あ」と二人で同時に声が出る。
せりなが眉根を寄せてねだるような小悪魔系の顔をする。男の子に対しては100戦100勝の顔だけど、
友だちにそれが聞くわけが………。
「さっさと謝りに行こう。そのほうが逃げ回るよりもいいでしょう」と照美を見て言った。
さすが優等生の見本、誰が何を言うのか予想がついて、
ついでに私の言動も予想をつけていたらしい。
私たちはせりなに完全敗北した。
「放課後、4人で生徒会室に謝りに行くので決定ね」と人差し指を上に向けて命令するせりなは、
私と照美にとって鬼に見えた。