二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない
「功チャン、あたしがもう二度とそんな病気起こさないようにしてあげる」

「どうやって…」

「うーん…悪魔祓いかな?」



不思議そうな顔をした爺さんだったが、それ以上なにも言わない惺音に爺さんも何も聞かなかった。



もしかして惺音、その狐を退治しようとしてるのか…?



爺さんは一通り採寸を終えて帰って行った。



帰ったあとに、惺音は俺たちを集めて言った。



「あたし、功チャンに迷惑をかけた狐のこと、許さないから」

「退治しようとしてんのか…」

「当たり前」

「でもどうやってするんだよ。死んでから何も起きてねえってことは姿をくらましてるってこと。俺たちにはどこにいるかも分かんねえよ」



俺がそう言うと、惺音は驚くことを言った。



「閻魔に会いに行く」

「はあ…?」

「閻魔なら千里眼を持ってる。死んだ人もいるならなおさら事情を分かってるはず。そこで閻魔と話して居場所を聞き出す」



惺音の言葉に、俺は「仕方ねえな…」とつぶやいた。



惺音がそこまで決めてるなら、神使の俺には何もあらがえない。



ただついていくのみだ。



なのに…。



「惺音ちゃーん、それ、俺も行かなきゃだめ?」



青蘭が片手をそろーっと上げてにこっと笑顔で聞いた。



「閻魔様ってよく知らないけど怖い人でしょ? 俺、そんな人のとこ行きたくないんだけど…」



こいつはほんとに…。



神使契約結んだばっかりだろ!



「青蘭! いいから行くぞ!」

「え~ん」



というわけで、嫌がる青蘭を連れて、俺たちは庭に出た。
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