二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない
「お前の体冷やしたらいけないと思って」

「このくらいじゃお腹の中の子にも影響ないわよ!」



その言葉に惺音が目を丸くした。



「お腹の中の子って…」



惺音が言うと、2人は照れくさそうに笑った。



「そうなんだよ! 香月が俺の子を身籠った! 最近気性荒かったのもそのせいだったんだな~」

「ちょっと、惺音ちゃんにあたしのこと気性が荒いなんて言ったの!? 許せない!」

「だって本当だろ!」



2人は喧嘩しながらも仲が良さそう。



惺音も嬉しそうで。



2人に「おめでとう」と目いっぱい告げてから俺たちも和音さんの元を後にした。



そして…。



「ただいまー!」

「惺音ちゃん! 煌くん! おかえり!」



ようやく、久しぶりに屋敷に戻った俺たち。



蘭が俺らのことを迎え入れてくれた。



惺音は莉子ちゃんの部屋に急ぐ。



「莉子! 大丈夫なの!?」

「惺音ちゃん、おかえり! 心配かけてごめんね…。もうだいぶ良くなったよ」



その言葉に蘭が軽く莉子ちゃんをつつく。



「嘘つき。まだ俺の補助受けてご飯食べてるくせに」



蘭がそう言うと莉子ちゃんの顔が赤くなった。



なんか2人、この数日で前よりも仲良くなったような気が…。



まあいい。



莉子ちゃんが思ったよりも元気そうで俺もほっとした。



惺音は莉子ちゃんの無事が分かると自分の部屋に戻って嬉しそうにナンテンの盆栽を飾って。



色々あったが、何はともあれ、こうしてみんな無事平和に終わって良かった。



俺も相当疲れた…。



自分の部屋に戻ってベッドに倒れこむ。



寝ようとしたそのとき、惺音が入って来た。



「煌! 莉子の部屋でみんなでご飯食べるよ!」

「うるせえ…俺は寝る…」

「ダメ! 久しぶりの家族そろってのごはんでしょ!」



そう言って俺の手を引っ張った。



ハハ…。



俺は無理やり起こされる。



やっぱり俺は、いつまで経っても惺音には逆らえないらしい。
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