二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない
「じゃあね、翠。ちゃんと祖母様の言うこと聞いていい子にするんだよ。元気でね。愛してる」



翠に別れを告げて、あたしたちも自分たちの屋敷に帰った。



「今日も翠は超かわいかったね」



そう言うと煌があたしのことを抱き寄せる。



あたしは思わず顔をそむける。



「惺音にそっくり」

「こ、煌にも…そっくりだよ」

「俺たちの子だもんな?」



そう言ってあたしの顔をまじまじと見た。



あたしの鼻をつまむ。



「やめてよ…」

「翠ちゃんにそっくりな鼻」

「じゃ、じゃあ…翠ちゃんにそっくりな耳」



あたしはそう言ってぎこちなく煌の耳に触れる。



煌があたしのその手に触れて、ふっと笑った。



そのままあたしにキスをする。



「んっ…」

「翠もかわいいけど、惺音も負けず劣らず最高にかわいい」



煌の最高の愛の言葉。



ねえ、煌、あたし幸せだよ。



家族のいなかったあたしに、煌や蘭、莉子という新しい家族が現れて。



それだけでも十分幸せなのに、こんなに愛してくれる人がそばにいる。



あたしも煌のことを愛してるよ。



言えないけどね。



そんな愛している人との間に生まれた子供。



あたしにはまた家族が増えた。



幸せはこれからもどんどん増幅していく予定だ。
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