神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
けれど、アーリヤット皇国と、キルディリア魔王国の国民達は、無事ではない。
彼らは今も、戦争の真っ只中なのだ。
「…報道を見る限り、今のところは、キルディリア魔王国が優勢らしいが…」
「はい。アーリヤット皇国の皇軍を、次々と撃破しているとか…」
「そうか…」
ナツキ様の擁するアーリヤット皇国は、ルーデュニア聖王国にも負けない大国だ。
一方キルディリア魔王国は、アーリヤット皇国やルーデュニア聖王国とは比べ物にならないくらい、小さな島国。
だけど、その小さな島国には、強力な部隊がいる。
キルディリアご自慢の、上級魔導師軍が。
キルディリア魔王国は、世界でも有数の超魔導師大国。
かの国には、数多くの優秀な魔導師達が住んでいる。
それは、俺もシルナも、実際にキルディリア魔王国に行った時に目にした。
あの国では、魔導師を育てることに重きを置いている。
魔導師でなければ、生きる権利なんてないとばかりに…。
キルディリア魔王国軍は、確かに、アーリヤット皇国に兵力が劣っている。
けれど、イシュメル女王は、その数の不利を、質で埋めようとしている。
実際、魔導師は戦力として、非常に強力だ。
一人の優秀な魔導師がいれば、10人、いや、100人の一般兵士にも勝るだろう。
シルナレベルの魔導師ともなれば、100人どころじゃないな。
対するアーリヤット皇国は、キルディリア魔王国とは正反対に、魔導師が少ない国だ。
これは、アーリヤット皇国の皇王…ナツキ様の方針だ。
ナツキ様は、魔導師のことを嫌っていて。
魔導師を異端者として、差別するような言動を繰り返している。
それに…元々、戦争のきっかけとなったのは、ナツキ様が提案した、「世界魔導師保護条約」にある。
この条約が、魔導師の権利を保護するどころか。
魔導師を国家の道具のように扱う、非人道的な条約であることは、既に周知の事実。
キルディリア魔王国は、この条約の締結を阻止するという名目で、アーリヤット皇国との戦端を開いたのだ。
…まぁ、イシュメル女王の本当の目的は、定かではないがな。
「条約の締結を阻止したいだけなら、もう充分のはずだ…。充分、キルディリア魔王国の…魔導師の強さは、見せつけただろ」
「えぇ…」
やるだけやったんだから、あとはもう帰れよ。
これだけ、痛い目を見させられたんだ。
いくらプライドの高いナツキ様でも、さすがにもう思い知っただろ。
ナツキ様は意固地だし、プライドの塊だけど、でも馬鹿ではない。
自分のプライドの為に、これ以上、無駄に国の財を浪費したくはないはずだ。
元々、戦争を仕掛けたのはキルディリア魔王国であって、アーリヤット皇国ではないしな。
ナツキ様は多分、もう戦争をやめたがっている。
ここ最近の、アーリヤット皇国の動きを見ても、それは明らかだ。
アーリヤット皇国は徹底して守りに転じ、攻勢を見せない。
ひたすら、攻め込んでくるキルディリア魔王国を押し返すばかりで、前に出ようとはしなかった。
ナツキ様はこれ以上、戦争を続けることを望んでいない。
だけど…一方のキルディリア魔王国は…。
「それなのに、キルディリア魔王国はまだ…撤退する様子も、停戦に応じる様子もない…」
「…それどころか、アーリヤット皇国が守りに入ったのを好機と見て、一気呵成にアーリヤット皇国の本土に上陸しようとしています」
「そんな…。じゃあキルディリア魔王国は、本土決戦を仕掛けようと…?」
「…恐らくは」
シュニィは、沈鬱な面持ちでそう言った。
彼らは今も、戦争の真っ只中なのだ。
「…報道を見る限り、今のところは、キルディリア魔王国が優勢らしいが…」
「はい。アーリヤット皇国の皇軍を、次々と撃破しているとか…」
「そうか…」
ナツキ様の擁するアーリヤット皇国は、ルーデュニア聖王国にも負けない大国だ。
一方キルディリア魔王国は、アーリヤット皇国やルーデュニア聖王国とは比べ物にならないくらい、小さな島国。
だけど、その小さな島国には、強力な部隊がいる。
キルディリアご自慢の、上級魔導師軍が。
キルディリア魔王国は、世界でも有数の超魔導師大国。
かの国には、数多くの優秀な魔導師達が住んでいる。
それは、俺もシルナも、実際にキルディリア魔王国に行った時に目にした。
あの国では、魔導師を育てることに重きを置いている。
魔導師でなければ、生きる権利なんてないとばかりに…。
キルディリア魔王国軍は、確かに、アーリヤット皇国に兵力が劣っている。
けれど、イシュメル女王は、その数の不利を、質で埋めようとしている。
実際、魔導師は戦力として、非常に強力だ。
一人の優秀な魔導師がいれば、10人、いや、100人の一般兵士にも勝るだろう。
シルナレベルの魔導師ともなれば、100人どころじゃないな。
対するアーリヤット皇国は、キルディリア魔王国とは正反対に、魔導師が少ない国だ。
これは、アーリヤット皇国の皇王…ナツキ様の方針だ。
ナツキ様は、魔導師のことを嫌っていて。
魔導師を異端者として、差別するような言動を繰り返している。
それに…元々、戦争のきっかけとなったのは、ナツキ様が提案した、「世界魔導師保護条約」にある。
この条約が、魔導師の権利を保護するどころか。
魔導師を国家の道具のように扱う、非人道的な条約であることは、既に周知の事実。
キルディリア魔王国は、この条約の締結を阻止するという名目で、アーリヤット皇国との戦端を開いたのだ。
…まぁ、イシュメル女王の本当の目的は、定かではないがな。
「条約の締結を阻止したいだけなら、もう充分のはずだ…。充分、キルディリア魔王国の…魔導師の強さは、見せつけただろ」
「えぇ…」
やるだけやったんだから、あとはもう帰れよ。
これだけ、痛い目を見させられたんだ。
いくらプライドの高いナツキ様でも、さすがにもう思い知っただろ。
ナツキ様は意固地だし、プライドの塊だけど、でも馬鹿ではない。
自分のプライドの為に、これ以上、無駄に国の財を浪費したくはないはずだ。
元々、戦争を仕掛けたのはキルディリア魔王国であって、アーリヤット皇国ではないしな。
ナツキ様は多分、もう戦争をやめたがっている。
ここ最近の、アーリヤット皇国の動きを見ても、それは明らかだ。
アーリヤット皇国は徹底して守りに転じ、攻勢を見せない。
ひたすら、攻め込んでくるキルディリア魔王国を押し返すばかりで、前に出ようとはしなかった。
ナツキ様はこれ以上、戦争を続けることを望んでいない。
だけど…一方のキルディリア魔王国は…。
「それなのに、キルディリア魔王国はまだ…撤退する様子も、停戦に応じる様子もない…」
「…それどころか、アーリヤット皇国が守りに入ったのを好機と見て、一気呵成にアーリヤット皇国の本土に上陸しようとしています」
「そんな…。じゃあキルディリア魔王国は、本土決戦を仕掛けようと…?」
「…恐らくは」
シュニィは、沈鬱な面持ちでそう言った。