神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
なんか、もう…嫌とは言えない雰囲気。

「…」

「…」

俺とルイーシュは、互いに無言で顔を見合わせた。

そのまま、視線だけで会話をする。

『…どうする?』

『面倒ですね。でも、説き伏せて納得させるのはもっと面倒そうです』

『だよな…』

…仕方ない。分かったよ。

「何を期待してるのか知らないが…。上手く教えられなくても、文句言わないでくれよ」

「…!引き受けてくださるんですね」

「勿論です。キュレム様に文句をつけるなんて、絶対にそんなことは有り得ません」

あー、はいはい。そうかい。

期待を見事に裏切られても、知らんからな。

「…で?何処で何すりゃ良いんだ?」

「アーリヤット総督府の中に、小規模ですが、魔法の訓練場があります。そちらで…」

「はいはい」

便利な施設を併設してんのな。

分かったよ。そこに行けば良いんだな。

俺とルイーシュは、ブラマンジュちゃんとエリトール君に連れられ。

アーリヤット総督府の中に併設されているという、小さな訓練場に向かった。

小さいとは言っても、イーニシュフェルト魔導学院の魔導稽古場の広さくらいはあった。

小さい(当社比)。

これだけ広さがあれば、派手な魔法も使い放題だろうな。

そして、その訓練場には、既に何人かのアーリヤット総督府に赴任しているキルディリア魔導師達がいて。

それぞれ、熱心に魔法の訓練を行っているところだった。

…やれやれまったく。勉強熱心なことだ。

キルディリア本国から離れてもなお、魔法の腕を磨き続けるとは。

キルディリア魔導師の鑑じゃないか。なぁ?

そして、そんなキルディリア魔導師達は。

「!上級魔導師様だ」

「見習い魔導師様もいるぞ」

「珍しい。魔法の訓練だろうか…?」

「皆、場所を開けろ。上級魔導師様がお越しだ」

訓練場に入ってきた俺達一行を見て。

口々にそう言って、慌てて場所を開けてくれた。

マジかよ。

「いや、あの、俺達端っこの方を使うから、君ら、そのまま続けてもらっても…」

「いえ!とんでもございません。どうぞ、上級魔導師様がご利用ください」

どうぞどうぞ、と場所を譲る魔導師諸君。

それどころか。

「魔導人形を運びましょうか」

「必要な道具があれば、何でも持ってきます」

「あの、ご迷惑でなければ、見学させていただいでも良いですか?」

わらわらと、キルディリア魔導師達が俺達の周りに集まってくるではないか。

何?この扱い。

芸能人か何かかよ。

すると、エリトール君はそんな部下達に、眉をひそめ。

「君達、持ち場に戻りなさい。上級魔導師様が困っておられるだろう」

と、叱った。

「…!申し訳ありません」

「出過ぎた真似を致しました…!」

口々に謝る魔導師の皆さん。

いや、別に、全然出過ぎた真似とか、そんな風には思っちゃいないんだが。

困ってたのは事実だが。

「それでは、失礼致します…」

「お邪魔致しました」

魔導師諸君は、さながら、俺達に追い出されるような形で。

次々と、訓練場を出ていった。

あぁ…行ってしまった。

残されたのは、広々とした訓練場に、俺とルイーシュ、ブラマンジュちゃんとエリトール君の四人だけ。

…貸し切り状態じゃないか。
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