神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
イーニシュフェルト魔導学院に残すのは、イレースさん一人。
僕がそう決めた理由は、イレースさんが一番適役だと思ったからだ。
天音さんを残しても良いけれど、でも天音さんには…。
「天音さんには、回復魔法を使うという重要な仕事がありますから」
戦争が起きれば、当然、怪我人が現れる。
だから、天音さんには後方で、負傷者の治療を頼みたい。
「救護所を開設し、そこで負傷者の受け入れを行います。天音さんが主導して、怪我人の治療をお願いします」
「う、うん…。分かった」
天音さんは、それなら自分にも出来る、と意気込んでいた。
さて、それじゃ次は…。
「俺とシルナは?何をすれば良い?」
羽久さんが、挑むような視線で僕に尋ねた。
そんな食い気味に聞かないでください。
「はい。お二人には、別働隊を頼もうかなと思ってます」
「…別働隊?」
てっきり羽久さんは、自分と学院長が、戦場のど真ん中、最前線に出されると思っていたようだが。
残念ですが、それは大外れです。
「何だよ…その別働隊ってのは」
…何だか不満そうですが。
成程。それじゃ、この際思ってることを言わせてもらいましょう。
「はっきり言わせてもらいますけど、僕、皆さんが戦場で役に立つとは思ってません」
「…」
「…」
…あ、みんな黙っちゃった。
「…ごめん。僕、頼りなくて…」
天音さんが、ちょっと泣きそうになりながら謝ってきた。
「手厳しいなぁ…」
学院長まで。遠い目。
「僕、それなりに人、殺してきたけど。それでも駄目なの?」
「もしかして、子供だからって舐めてる?」
令月さんと、すぐりさんも不満そうに聞いてきた。
ああいや、違う。そういう意味じゃないんですよ。
説明させてください。説明。
「誤解しないで聞いてくださいね。僕は、皆さんの実力を疑ってはいません。心強い仲間だと思ってます」
それは事実ですよ。僕の本心です。
「ですが、僕は今回…『戦争の経験』を重視して、人選を考えています」
「戦争の…経験?」
「はい」
これって、凄く重要な要素なんです。
「皆さんには、『戦闘』の経験はある。…学院長やすぐりさん達は、僕よりも遥かに経験豊富だと思います」
あと、マシュリさんも。
「ですが、まともに『戦争』を経験したことがあるのは、僕だけです」
学院長は、僕の言葉を聞いてハッとした。
…気づいたようですね。
「『戦闘』と『戦争』は違います。まったくの別物です。…こればかりは、経験した者でないと分からないと思います」
「…ナジュ君…」
…すみません、別に同情を誘ってるんじゃなくて。
「経験したことがない者を、突然戦場のど真ん中に放り込むのは、あまりにも危険です。そのリスクと負担を思えば…正直、後ろに引っ込んでくれてた方がマシです」
今日入ったばかりの新入社員を、現場に連れて行って、「さぁ働け」と言ったって、それは無理な話でしょう?
それと同じです。
ルーデュニア聖王国は、良くも悪くもこれまで、ずっと平和だった。
学院長が手厚く守るこの国は、これまで建国以来、戦争なんて一度も起きなかった。
つまり、ルーデュニア人には「戦争」の経験がない。
いくら戦闘経験が豊富でも、戦争においては、ズブの素人も同然なのである。
僕がそう決めた理由は、イレースさんが一番適役だと思ったからだ。
天音さんを残しても良いけれど、でも天音さんには…。
「天音さんには、回復魔法を使うという重要な仕事がありますから」
戦争が起きれば、当然、怪我人が現れる。
だから、天音さんには後方で、負傷者の治療を頼みたい。
「救護所を開設し、そこで負傷者の受け入れを行います。天音さんが主導して、怪我人の治療をお願いします」
「う、うん…。分かった」
天音さんは、それなら自分にも出来る、と意気込んでいた。
さて、それじゃ次は…。
「俺とシルナは?何をすれば良い?」
羽久さんが、挑むような視線で僕に尋ねた。
そんな食い気味に聞かないでください。
「はい。お二人には、別働隊を頼もうかなと思ってます」
「…別働隊?」
てっきり羽久さんは、自分と学院長が、戦場のど真ん中、最前線に出されると思っていたようだが。
残念ですが、それは大外れです。
「何だよ…その別働隊ってのは」
…何だか不満そうですが。
成程。それじゃ、この際思ってることを言わせてもらいましょう。
「はっきり言わせてもらいますけど、僕、皆さんが戦場で役に立つとは思ってません」
「…」
「…」
…あ、みんな黙っちゃった。
「…ごめん。僕、頼りなくて…」
天音さんが、ちょっと泣きそうになりながら謝ってきた。
「手厳しいなぁ…」
学院長まで。遠い目。
「僕、それなりに人、殺してきたけど。それでも駄目なの?」
「もしかして、子供だからって舐めてる?」
令月さんと、すぐりさんも不満そうに聞いてきた。
ああいや、違う。そういう意味じゃないんですよ。
説明させてください。説明。
「誤解しないで聞いてくださいね。僕は、皆さんの実力を疑ってはいません。心強い仲間だと思ってます」
それは事実ですよ。僕の本心です。
「ですが、僕は今回…『戦争の経験』を重視して、人選を考えています」
「戦争の…経験?」
「はい」
これって、凄く重要な要素なんです。
「皆さんには、『戦闘』の経験はある。…学院長やすぐりさん達は、僕よりも遥かに経験豊富だと思います」
あと、マシュリさんも。
「ですが、まともに『戦争』を経験したことがあるのは、僕だけです」
学院長は、僕の言葉を聞いてハッとした。
…気づいたようですね。
「『戦闘』と『戦争』は違います。まったくの別物です。…こればかりは、経験した者でないと分からないと思います」
「…ナジュ君…」
…すみません、別に同情を誘ってるんじゃなくて。
「経験したことがない者を、突然戦場のど真ん中に放り込むのは、あまりにも危険です。そのリスクと負担を思えば…正直、後ろに引っ込んでくれてた方がマシです」
今日入ったばかりの新入社員を、現場に連れて行って、「さぁ働け」と言ったって、それは無理な話でしょう?
それと同じです。
ルーデュニア聖王国は、良くも悪くもこれまで、ずっと平和だった。
学院長が手厚く守るこの国は、これまで建国以来、戦争なんて一度も起きなかった。
つまり、ルーデュニア人には「戦争」の経験がない。
いくら戦闘経験が豊富でも、戦争においては、ズブの素人も同然なのである。