神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
「それに、クロティルダさんはシルナ学院長達のピンチを救ってくれたんでしょう?」

「…それは…」

「責められるのはお門違いだと思いますけど」

「…」

…そ、う、言われたら…。

…まぁ、そうかもしれないけど。

すると、クロティルダの羽根を撫でていた、ベリクリーデまでもが。

「…クロッティは何も悪くないよ?」

クロティルダを庇うように、そう言うではないか。

「だから、ジュリス。クロティルダを怒らないであげて」

「…ベリクリーデ…」

…良いのか、お前。

本当は、お前が一番、クロティルダに怒りをぶつけなきゃいけない立場なんだぞ。

何で勝手にいなくなったりしたの、って。そう責めても良いんだぞ。

むしろ、お前はそうするべきなんだ。

悲しい思いを、寂しい思いをしたんだからな。

それなのに…こんなにも簡単に、クロティルダを許してしまって…良いのか。

…甘いな、ベリクリーデは。

それが…ベリクリーデの良さでもあるけど。

あぁ…。…なんか、シラけてきた。

これじゃあ、説教する気も起きな、

「…それにしても、クロティルダの羽根は、ふわふわだね」

「そうか?」

クロティルダの羽根を撫でていたベリクリーデが、クロティルダに向き直り。

あろうことか、クロティルダの羽根に、毛布みたいに抱きついて、顔を埋めた。

「えへへ。ふわふわもちもち〜」

単にベリクリーデは、ふわふわした感触が気持ち良かっただけなんだろうが。

ハタから見ればその光景は、ベリクリーデがクロティルダの背中に、嬉しそうに抱きついているようにしか見えない訳で。

それを見て、沈静化しかけていた俺の怒りの炎が、再燃した。

…イラッ。

「…潰す。毟る。ちぎってやる」

「…すげーな…。ジュリスの奴、見たことない顔してんぞ…」

「般若もびっくりですね」

キュレムとルイーシュがなんか言っていたが、俺の耳には入っていなかった。

この忌々しい天使の羽根を、1枚ずつ毟ってゴミ箱に叩き込んでやる。ということしか考えていなかった。

…の、だが。

そこに。

「…お願いします。クロティルダのことを責めないでください」

ベリクリーデでも、クロティルダでもない。

キュレムでもルイーシュでもない、別の人物が。

クロティルダを庇うように、ふわりと舞い降りた。

「…!?」

「えっ…な、なんか増えた…!?」

「…誰ですか?」

これには、俺も、キュレムとルイーシュも驚いた。

驚いていなかったのは、ベリクリーデとクロティルダだけだ。

突如として現れたのは、クロティルダよりも、更に大きな羽根を背中に生やした、美しい女性だった。

…こいつは…。

「…智天使、ケルビム」

クロティルダが、その女性の名前をぽつりと呟いた。

智天使…。…ケルビム、だと?
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