神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
更に、イシュメル女王はアーリヤット皇国を支配するに当たって。
「イシュメル女王は、キルディリアに忠心を誓うアーリヤット魔導師には、キルディリア魔導師と同等の権限を与えて厚遇する、という宣言を出したそうです」
と、フユリ様が説明してくれた。
…大盤振る舞いじゃないか。
非魔導師にとっては、容赦の欠片もないイシュメル女王だが。
魔導師に対しては、随分と寛容と言うか…あらゆる面で優遇する措置を取っている。
魔導師にとっては、非常に「暮らしやすい」国だろう。
アーリヤット皇国の魔導師を優遇する…となれば、これまでのアーリヤット皇国内での魔導師・非魔導師の関係が、完全に逆転することとなる。
これまでナツキ様の政権のもと、辛酸を舐めさせられていた魔導師が優遇され。
逆に、これまで優遇されてきた非魔導師が、今度は弾圧の憂き目に遭うことになるのだ。
アーリヤット魔導師達はこぞって、キルディリア魔王国への協力、恭順の意を現した。
これがイシュメル女王のやり方だ。
徹底して魔導師を優先し、魔導師中心の国を作る。
こうすれば、アーリヤット皇国内でも魔導師・非魔導師間で溝が出来る。
魔導師は非魔導師を、非魔導師は魔導師を憎むように仕向けて、キルディリアに対する反発心を抑え。
団結して、キルディリア魔王国に対抗しよう、なんて意志が起こらないように、アーリヤット国民を誘導している。
狡猾だが、上手いやり方と言わざるを得ない。
それもこれも、元はと言えば魔導師を冷遇してきたナツキ様の政策が間違っていたからだ、と言われたら…その通りなのだが。
…かと言って。
ナツキ様だって…本気で魔導師を憎んでいた訳じゃない。。
確かにナツキ様は、魔導師のことを嫌ってはいたけれど。
キルディリア魔王国が非魔導師にするみたいに、徹底した差別を加えていた訳じゃない。
それなのに…。
「アーリヤット皇国は今、限りない混乱の中にあります。どうか、国民を力で押さえつけるようなことはしないで欲しいと、何度も要請しているのですが…」
「…」
他人の言うことを、素直に聞き入れる人じゃないからな。イシュメル女王は。
フユリ様の心痛は如何程のものか。
「せめて…せめて、兄が生きていれば…国民を一つにまとめることが出来たでしょうに」
「…!フユリ様、それは…」
「…良いのです。キルディリア魔王国との戦端が開いた時から、覚悟はしていました…」
「…」
覚悟していた、と言いながら。
それでも、フユリ様の唇が震えているのを、俺は見逃さなかった。
「イシュメル女王は、キルディリアに忠心を誓うアーリヤット魔導師には、キルディリア魔導師と同等の権限を与えて厚遇する、という宣言を出したそうです」
と、フユリ様が説明してくれた。
…大盤振る舞いじゃないか。
非魔導師にとっては、容赦の欠片もないイシュメル女王だが。
魔導師に対しては、随分と寛容と言うか…あらゆる面で優遇する措置を取っている。
魔導師にとっては、非常に「暮らしやすい」国だろう。
アーリヤット皇国の魔導師を優遇する…となれば、これまでのアーリヤット皇国内での魔導師・非魔導師の関係が、完全に逆転することとなる。
これまでナツキ様の政権のもと、辛酸を舐めさせられていた魔導師が優遇され。
逆に、これまで優遇されてきた非魔導師が、今度は弾圧の憂き目に遭うことになるのだ。
アーリヤット魔導師達はこぞって、キルディリア魔王国への協力、恭順の意を現した。
これがイシュメル女王のやり方だ。
徹底して魔導師を優先し、魔導師中心の国を作る。
こうすれば、アーリヤット皇国内でも魔導師・非魔導師間で溝が出来る。
魔導師は非魔導師を、非魔導師は魔導師を憎むように仕向けて、キルディリアに対する反発心を抑え。
団結して、キルディリア魔王国に対抗しよう、なんて意志が起こらないように、アーリヤット国民を誘導している。
狡猾だが、上手いやり方と言わざるを得ない。
それもこれも、元はと言えば魔導師を冷遇してきたナツキ様の政策が間違っていたからだ、と言われたら…その通りなのだが。
…かと言って。
ナツキ様だって…本気で魔導師を憎んでいた訳じゃない。。
確かにナツキ様は、魔導師のことを嫌ってはいたけれど。
キルディリア魔王国が非魔導師にするみたいに、徹底した差別を加えていた訳じゃない。
それなのに…。
「アーリヤット皇国は今、限りない混乱の中にあります。どうか、国民を力で押さえつけるようなことはしないで欲しいと、何度も要請しているのですが…」
「…」
他人の言うことを、素直に聞き入れる人じゃないからな。イシュメル女王は。
フユリ様の心痛は如何程のものか。
「せめて…せめて、兄が生きていれば…国民を一つにまとめることが出来たでしょうに」
「…!フユリ様、それは…」
「…良いのです。キルディリア魔王国との戦端が開いた時から、覚悟はしていました…」
「…」
覚悟していた、と言いながら。
それでも、フユリ様の唇が震えているのを、俺は見逃さなかった。