神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
俺は、アーリヤット皇国との決闘の際に会った、ナツキ様のことを思い出した。
ルディシアをけしかけてきたり、マシュリを利用したり。
フユリ様への敵対心を燃やし、事あるごとにルーデュニア聖王国にちょっかいを出し。
ろくな奴じゃない、いけ好かない奴だ、とずっと思ってたけど。
それでもフユリ様にとっては、実の兄だった。
それに、魔導師を嫌ってはいたものの。
元々はルーデュニア人でありながら、アーリヤット皇国で皇王として、立派に大国まとめ上げていた。
フユリ様への嫉妬心を除けば、多分、そんなに悪い人じゃなかったのだろう。
…それなのに…。
「…悲しんでなどいられません。今、本当に辛いのは…大変な思いをしているのは…アーリヤット国民なのですから」
一方的に毛嫌いされていたとはいえ、フユリ様は実の兄を失った。
人目を憚らずに悲しみ、我を失ってもおかしくないというのに。
フユリ様は、気丈にもそう言ってみせた。
「それに…アーリヤット皇国を平定した後は、今度は我が国に矛先を向けてくる可能性もあります」
「…」
「新しいアーリヤット皇国が…イシュメル女王が次に、どのような手を打ってきても、対処出来るようにしておかなくては…」
「…そう、ですね」
悲しんでいる暇などない。
次に戦争の火の粉が降りかかるのは、このルーデュニア聖王国かもしれないのだから。
フユリ様は自分にそう言い聞かせ、必死に平静を装っているのだろう。
その健気な、気丈な姿に。
俺達としても、何とか彼女を支えてあげたい、と思った。
それに…フユリ様の言う通り。
アーリヤット皇国を制圧した後は、今度はルーデュニア聖王国を狙ってくるかもしれないのだ。
常に、目を光らせておかなくては。
「…ひいては、シルナ学院長。折り入って、お願いしたいことがあります」
フユリ様は姿勢を正し、膝の上で両手を握り。
シルナに、そう頼んできた。
「お願いしたいこと…ですか?何でしょう?」
「それは…」
フユリ様の「お願い」に。
俺もシルナも、目を丸くして驚いた。
ルディシアをけしかけてきたり、マシュリを利用したり。
フユリ様への敵対心を燃やし、事あるごとにルーデュニア聖王国にちょっかいを出し。
ろくな奴じゃない、いけ好かない奴だ、とずっと思ってたけど。
それでもフユリ様にとっては、実の兄だった。
それに、魔導師を嫌ってはいたものの。
元々はルーデュニア人でありながら、アーリヤット皇国で皇王として、立派に大国まとめ上げていた。
フユリ様への嫉妬心を除けば、多分、そんなに悪い人じゃなかったのだろう。
…それなのに…。
「…悲しんでなどいられません。今、本当に辛いのは…大変な思いをしているのは…アーリヤット国民なのですから」
一方的に毛嫌いされていたとはいえ、フユリ様は実の兄を失った。
人目を憚らずに悲しみ、我を失ってもおかしくないというのに。
フユリ様は、気丈にもそう言ってみせた。
「それに…アーリヤット皇国を平定した後は、今度は我が国に矛先を向けてくる可能性もあります」
「…」
「新しいアーリヤット皇国が…イシュメル女王が次に、どのような手を打ってきても、対処出来るようにしておかなくては…」
「…そう、ですね」
悲しんでいる暇などない。
次に戦争の火の粉が降りかかるのは、このルーデュニア聖王国かもしれないのだから。
フユリ様は自分にそう言い聞かせ、必死に平静を装っているのだろう。
その健気な、気丈な姿に。
俺達としても、何とか彼女を支えてあげたい、と思った。
それに…フユリ様の言う通り。
アーリヤット皇国を制圧した後は、今度はルーデュニア聖王国を狙ってくるかもしれないのだ。
常に、目を光らせておかなくては。
「…ひいては、シルナ学院長。折り入って、お願いしたいことがあります」
フユリ様は姿勢を正し、膝の上で両手を握り。
シルナに、そう頼んできた。
「お願いしたいこと…ですか?何でしょう?」
「それは…」
フユリ様の「お願い」に。
俺もシルナも、目を丸くして驚いた。