神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
自分の口から言おうとしていたことを、ナジュにあっさりと暴露され。

シルナは、「あぁ…」みたいな顔で項垂れていた。

…しょうがない。ナジュの読心魔法には勝てない。

「…ふん。そういうことですか」

鼻を鳴らすイレース。

「スパイとして…キルディリア魔王国に…」

ナジュの言葉を復唱しながら、愕然とするシュニィ。

「成程…。それも一つの手だな」

特に驚くことなく、冷静に頷く無闇。

「確かに、キルディリア魔王国の動向を探るにはそれが一番有効だと思う」

マシュリも、割と冷静に判断していた。

元暗殺者組の、令月とすぐりはと言うと。

「スパイだって、『八千歳』。僕らの得意分野だね」

「へぇー。面白そーだね。俺達でいこっか」

「うん」

怯えるどころか怖がるどころか、面白がってた。

心配しなくても、お前達には行かせないけどな。

そして、ジュリスとベリクリーデは。

「…ねぇ、ジュリス。私、すぱいって何か知ってるよ」

「…何なんだ?言ってみろ」

「辛い食べ物でしょ」

ドヤァ。

「それはスパイスだ、馬鹿ちん」

…ま、まぁまぁ。

「なーんか、面倒臭いことになりましたね」

「そうだな…。偉い人は大変だな。面倒なことばっか考えなきゃいけなくて」

ルイーシュとキュレムは、うんざりとした顔で呟いた。

「キルディリア魔王国に…スパイって…あまりにも危険だよ…」

天音は不安そうな、心配そうな表情で言った。

…うん。俺もそう思う。

きっとフユリ様も、それは分かっているはずだ。

分かっていて、それでもルーデュニア聖王国を守る為に。

覚悟を決めて、シルナに頼んでくれたのだ。

キルディリア魔王国に潜入して、少しでも情報を得る為に。

「私達は魔導師…それも、ここにいる皆の実力なら、きっとキルディリアでは、上級魔導師に認定されるだろうから…。イシュメル女王の信用を得られれば、懐に入り込むのは比較的容易だろうって、フユリ様が…」

「いやー。そう簡単ではないと思うけど?」

「僕達が学院長の配下だってこと、イシュメルって人は知ってるんだよね?信用されるどころか、むしろ警戒されると思うよ」

すぐりと令月、元暗殺者組が、鋭く指摘した。

…相変わらず、痛いところを突いてくるな。

「そ、それはそうなんだけど…」

「心配しなくて大丈夫ですよ。令月さん、すぐりさん。スパイなら、僕が行きますから」

えっ。

真っ先に、キルディリア魔王国への潜入任務に立候補したのは。

案の定と言うべきか、ナジュだった。

…お前は、絶対名乗り出るだろうなと思ったよ。
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