豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「きっと、昔も今もあなたに良心はないのでしょうね。自分本位で己の欲望さえ満たされれば、親しい人でさえ簡単に切り捨てる。昔の俺にしたようにね」
いまだに突っ伏す美沙江を見下ろし、テーブルの上へと写真を並べていく。肌も露わな美沙江と男が抱き合っている写真や、情事の後を色濃く残し眠る写真、そして男とのキスシーンを激写した写真まで、様々な浮気現場を捉えた写真が並ぶ。
「ここに並んでいる写真は、すべて美沙江の浮気をとらえた写真です」
俺の言葉に顔をあげた美沙江の目が見開かれる。思いもよらなかったのだろう。用心に用心を重ね、浮気相手を厳選していたのだから、そんな男達に裏切られるとは考えてもいなかったのだ。彼女にとっては、寝耳に水の話。
「な、な、なに、よ、これ!?」
「あなたの浮気写真ですね。うまく隠していたようですけど、夜の世界は案外狭いんですよ。あなたに捨てられてから遊びまくった経験と交友関係が役に立ちました。この写真が、あなたの旦那さん、ないしは親族に渡ったらどうなるでしょうか? 頭のいい美沙江なら、わかりますよね」
写真を握り潰した手が震えている。
美沙江もわかっているのだ。この写真が出回れば、離婚は免れない。しかし、夫への愛がなくとも権力欲の強い美沙江は、社長夫人という地位を捨てることも出来ない。
「あなたの旦那さん。跡取りですが、微妙な立ち位置にいますよね。今、妻の浮気なんていうスキャンダルが発覚したら、その座から引きずり降ろされるかもしれませんね。それか、さっさとあなたと縁を切って保身に走るか」
「何が……、望みよ」
「望みですか。そうですね……、今後一切、俺と鈴香の前に現れない。それが、写真のデーターを渡す条件です」
握り潰した写真を俺に投げつけた美沙江がキッと睨み立ち上がる。
「わかったわよ! 今後一切、あんた達には関わらないわ! つまらない男になったもんね。お子さま女とままごとみたいな恋愛でもしていればいいわ」
ふんっと怒りもあらわに鞄を引っつかんだ美沙江が、扉へと歩きだす。
「あぁ、そうそう。写真のデーターは渡してやるよ。でも、報復を考えるなら今度こそ潰す」
俺の言葉に一瞬足を止めた美沙江だったが、振り返ることなく部屋を出ていく。こころなしか落ちた肩が彼女の本心を現しているようで、わずかに胸の痛みを覚える。以前には、感じたことすらなかった心の痛みに、改めて鈴香の存在の大きさを思い知った。鈴香と出会っていなければ、今でも美沙江への執着とも呼べる恨みを捨てることは出来なかっただろう。
鈴香は、今頃何をしているのだろうか……
最近の動向は、全て把握しているつもりだ。まぁ、仕事帰りは、ほぼあのBARに立ち寄っているようだ。優の話では、ヤケ酒のつもりか無茶な飲み方をしていると。
鈴香にとっては、けっして良い想い出などない場所に入り浸っている事実が俺にわずかな希望を与えてくれる。
まだ、望みはあると……
静けさに包まれた部屋の中、張りつめた緊張が溶けていく。大仕事を終えた満足感に、大きく息を吐き出した時だった。突然鳴り出したスマホのバイブ音に電話へと出れば、慌てた様子の第一声に心がざわつき出した。
いまだに突っ伏す美沙江を見下ろし、テーブルの上へと写真を並べていく。肌も露わな美沙江と男が抱き合っている写真や、情事の後を色濃く残し眠る写真、そして男とのキスシーンを激写した写真まで、様々な浮気現場を捉えた写真が並ぶ。
「ここに並んでいる写真は、すべて美沙江の浮気をとらえた写真です」
俺の言葉に顔をあげた美沙江の目が見開かれる。思いもよらなかったのだろう。用心に用心を重ね、浮気相手を厳選していたのだから、そんな男達に裏切られるとは考えてもいなかったのだ。彼女にとっては、寝耳に水の話。
「な、な、なに、よ、これ!?」
「あなたの浮気写真ですね。うまく隠していたようですけど、夜の世界は案外狭いんですよ。あなたに捨てられてから遊びまくった経験と交友関係が役に立ちました。この写真が、あなたの旦那さん、ないしは親族に渡ったらどうなるでしょうか? 頭のいい美沙江なら、わかりますよね」
写真を握り潰した手が震えている。
美沙江もわかっているのだ。この写真が出回れば、離婚は免れない。しかし、夫への愛がなくとも権力欲の強い美沙江は、社長夫人という地位を捨てることも出来ない。
「あなたの旦那さん。跡取りですが、微妙な立ち位置にいますよね。今、妻の浮気なんていうスキャンダルが発覚したら、その座から引きずり降ろされるかもしれませんね。それか、さっさとあなたと縁を切って保身に走るか」
「何が……、望みよ」
「望みですか。そうですね……、今後一切、俺と鈴香の前に現れない。それが、写真のデーターを渡す条件です」
握り潰した写真を俺に投げつけた美沙江がキッと睨み立ち上がる。
「わかったわよ! 今後一切、あんた達には関わらないわ! つまらない男になったもんね。お子さま女とままごとみたいな恋愛でもしていればいいわ」
ふんっと怒りもあらわに鞄を引っつかんだ美沙江が、扉へと歩きだす。
「あぁ、そうそう。写真のデーターは渡してやるよ。でも、報復を考えるなら今度こそ潰す」
俺の言葉に一瞬足を止めた美沙江だったが、振り返ることなく部屋を出ていく。こころなしか落ちた肩が彼女の本心を現しているようで、わずかに胸の痛みを覚える。以前には、感じたことすらなかった心の痛みに、改めて鈴香の存在の大きさを思い知った。鈴香と出会っていなければ、今でも美沙江への執着とも呼べる恨みを捨てることは出来なかっただろう。
鈴香は、今頃何をしているのだろうか……
最近の動向は、全て把握しているつもりだ。まぁ、仕事帰りは、ほぼあのBARに立ち寄っているようだ。優の話では、ヤケ酒のつもりか無茶な飲み方をしていると。
鈴香にとっては、けっして良い想い出などない場所に入り浸っている事実が俺にわずかな希望を与えてくれる。
まだ、望みはあると……
静けさに包まれた部屋の中、張りつめた緊張が溶けていく。大仕事を終えた満足感に、大きく息を吐き出した時だった。突然鳴り出したスマホのバイブ音に電話へと出れば、慌てた様子の第一声に心がざわつき出した。