豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「貴方の心の奥底にあるシコリは何かしらね? クリスマスイブに彼女と来るはずだったホテルに一人で泊まって、寂しいクリスマスよね。本当なら彼女との初めての夜を過ごすつもりだったのではなくて? このまま後生大事に童貞を貫いたところで貴方は前に進めない。大好きな彼女に振られた事がトラウマになって、不能になるかもしれないわ。さて、貴方はどうするの? 私の誘いを受けて童貞を捨てるか? このまま部屋を出て行くか? 貴方が決めて」

 グイっと唇を拭った彼が視線を外し、ボソッと呟く。

「お姉さんはそれで良いのかよ? 好きでもない男とsexしたって気持ち悪いだけだろ」
「好きでもない男ね。確かに貴方の事は好きではないわね。ただ、好感は持っている。素直で誠実で一途。しかも、自棄になった憐れな女を見捨てることも出来ないお人好し。元彼にはなかったモノを持っている。貴方を見ていると思い出すのよ。まだ、付き合いたての初々しかった彼をね。傷ついた心を慰めたいだけ、貴方とsexしたい理由は、ただそれだけよ。一時だけでも幸せだった頃の思い出に浸りたい」
「ひどい女……、寂しさを紛らわせるために俺を利用するのかよ」
「そうかもね。貴方の優しさに付け入り、心にポッカリ空いた穴を満たしたい。でも、貴方にとってもメリットがあるのではなくって? 彼女に童貞だって振られたんでしょ。貴方が私相手じゃ役に立たないって言うなら仕方ないけど、何の憂いもなくクソの役にも立たない童貞を捨てられるチャンスじゃない。後は好きにすれば良い。元彼女を追いかけるも良し、新しい出会いを求めるも良し。綺麗さっぱり捨て去って、トラウマにもならず次のステップに進める。良いこと尽くめじゃないかしら」

 未だに顔を逸らす彼に馬乗りになり、ネクタイに手をかけ解いていく。抵抗されないことを良しとして、シャツのボタンも外し、肌蹴れば見事な腹筋が現れた。わずかに開いたシャツから覗く素肌は、部屋の間接照明に照らされ、仄かな色気を醸し出す。ゴクリっと嚥下する喉の音が、直接脳内に響き妙な期待を抱いていることを自覚させられた。

「……綺麗な肌」

 わずかに開いたシャツの間に指を滑らせ、胸元から割れた腹筋をゆっくりとなぞれば、感じてしまったのかピクッと震える肌の動きが指先に伝わった。

「ふふっ、男の人でもココ、感じるって知ってた?」

 肌の上をゆっくりと上へ上へと指先を滑らせていく。わずかに自己主張を始めた突起を無視し、さらに上へ上へと指先を動かす。鎖骨のくぼみに指先を滑らせ爪を立てると同時に首筋に噛みついた。

「ちょっ!? やめっ……」

 歯を立てた首筋をなだめるように舐め上げれば、くぐもった声が聴こえてくる。
 まだ抵抗しないのね。本当、お人好し……
 童貞の彼は女に襲われたことなどないのだろう。愛する彼女と幸せな一夜を夢見ていただろうに、名前も知らない女に犯される。チクリと胸を痛める罪悪感に蓋をして、彼を支配している優越感に浸る。
 いったい彼はどんな顔をしている?
 好きでもない女に支配され翻弄されてなお、彼の優しさが、ひどい女を突き離すことを許さない。
 様々な葛藤がせめぎ合い、女に支配される屈辱に顔を歪めているのかしらね。
 長い前髪と眼鏡で隠された彼の素顔を見たいという欲求が抑えられない。サッと眼鏡を取り去り見下ろせば、長い前髪の間から切れ長の瞳に見据えられた。
 わずかに上気した頬と、赤く染まった目元が壮絶な色香を放つ。予想外の色香に当てられ目の前がクラクラする。
 まずいわね。この子、化けるわ……
 襲っているのは私のはずなのに、襲われている感覚になるのは何故だろう?
 舌舐めずりして待つ猛禽類にロックオンされた気分になり、深部が疼き溢れ出した蜜が下着を濡らしていく。初めての感覚に内心焦り出した私は、慌てて彼から目を逸らすことしか出来なかった。
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